怪談作家、戸神重明先生の怪談の中で、実に地味な意見と思われるかもしれませんが、私は「雨鬼」に収録されている「前世はインド人」の話がめちゃくちゃ好きです。私も露骨な幽霊なUFOを見たことはなく、実はそういうものを信じてもいないのですが、「前世はインド人」に出てきたような、「なぜこのタイミングでカレーの匂いがするの?ただの偶然かもしれないけど、あまりに符号がすぎて、意味がわからない???」というレベルの「不思議事件」なら、なるほど、何回か出会ってるし、こういうレベルでの「不思議」なら確かにどうも世界にはありふれてるようなのです。
怪談標本箱 雨鬼 (竹書房文庫)