以前以下の記事で、鹿児島県と本ブログ管理人のフシギな縁の話をさせていただきましたが、
その続きとなります。
ここからはいよいよ鹿児島県の「怪談・妖怪」のハナシを掘って行きます。
今回参考文献として紹介したいのは、濱幸成さんの『鹿児島の怖い話〜西郷星は燃えているか〜』。
鹿児島の怖い話〜西郷星は燃えているか〜【電子書籍】[ 濱幸成 ] 価格:1,100円 |
労作です!
全国を旅しつつ怪談を集めて歩く濱幸成さんが、鹿児島に上陸した時の取材譚です!
城山公園で車中泊をする(「ナニか出てください」と言っているようなものだw!)等、まさに肉弾をもって、鹿児島の怪なるものを探りに行っています。
なかなか鹿児島のような遠方に行けない私のような東京人にとって、このような取材記の試みはきわめて貴重!必読本です!
私自身の読書メモを兼ねて、
本書に登場した妖怪・怪異を以下に整理してみました。鹿児島の怪異に興味のある方、ぜひ参考にしてみてください!
タイトル | カテゴリー | 寸評(ネタバレなし) |
---|---|---|
城山公園 鹿児島市城山町 | 実話怪談 | 著者の濱幸成さん自らが城山公園で車中泊した時のハナシ。西南戦争がらみのナニモノかと推測 |
妙円寺 | 実話怪談 | 鹿児島県で収集した実話怪談。お祭りにかかわる不思議なハナシ |
心霊写真 | 実話怪談 | 鹿児島県で収集した実話怪談。けっきょく何だったのかよくわからない不安感がとても良き |
大きな人 | 妖怪?! | 鹿児島県で収集した実話怪談だが、こいつは妖怪の類だったのかもしれない! |
ごったん | 実話怪談 | 鹿児島県で収集した実話怪談。「ごったん」という弦楽器をめぐる遺品整理のハナシ |
げじべぇ | 妖怪?! | 鹿児島県で収集した実話怪談。橋にいたものは、伝承にきく妖怪「げじべぇ」だったのか? |
竹の瀬戸 | 心霊スポット | 島津と菱狩の古戦場 |
住吉池 | 心霊スポット | 大蛇伝説のある池。大型魚?それとも大ウナギなのか?考察は尽きない |
涙橋 | 心霊スポット | 藩政時代の処刑場への通り道にして、西南戦争で死者の出た場所 |
開聞トンネル | 心霊スポット | 私も地図と写真で確認したが、見るからにヤバそうなトンネルですね確かに・・・! |
上西園のモイドン | 妖怪?! | 森殿と書いてモイドン。妖怪というより土地の神サマ |
屋久島灯台 | 心霊スポット | 濱幸成さんが聞いたという「男の叫び声」のナゾが残る・・・ |
兼喜神社 | 伝説 | いわゆる御霊神社のこと |
若宮神社 | 伝説 | 島津分家を祀る神社のこと |
芋焼神社 | 伝説 | 焼き芋を食べてばかりいた人の伝説・・・って、これめちゃくちゃ面白い話ですよ!! |
安良神社 | 伝説 | 霧島市横川町にある神社の伝説紹介 |
波之上神社 | 伝説 | 鹿屋市高須町にある神社の伝説紹介 |
川上神社 | 伝説 | 指宿市開聞十町にある神社の伝説紹介 |
平松神社 | 伝説 | 鹿児島市吉野町にある神社の伝説紹介 |
生き肝取り | 伝説 | かつて薩摩の若侍が墓荒らしを退治したという伝説。豪快で豪放な武勇譚なのが薩摩らしい! |
戸田観音 | 妖怪?! | 観音様とセットで祀られている二匹のガラッパ(河童)のこと |
江の島弁天 | 伝説 | 鹿児島県にも「江の島弁天」があったとは恥ずかしながら初めて知りました・・・! |
十三塚原 | 伝説 | 神社と寺との屁理屈合戦とその始末 |
池王明神 | 妖怪?! | 石田湖のイッシー登場! |
持明像 | 伝説 | 「白粉つけて」と泣く石仏の伝説 |
隠れ念仏 | 伝説 | 一向宗の歴史にまつわる伝説 |
去川の関所 | 伝説 | 「二重鎖国薩摩」の関門を守っていた有名な関所をめぐる伝説 |
西南戦争 | 伝説 | 鹿児島の怪談を語る上で西南戦争の知識は大前提!西郷星のハナシと西郷ロシア脱出伝説 |
宝島 | 伝説 | 日本最後の秘境? |
竜ヶ水 | 伝説 | 水害を巡る歴史のハナシ |
桜島 | 伝説 | この有名な火山を巡る歴史のハナシ |
オットイ嫁女 | 民俗風習 | いわゆる略奪婚のこと |
牛と祭り | 民俗風習 | カギヒキ神事とガウンカウン祭り |
奄美の風葬洞 | 民俗風習 | 「一部の離島ではもしかしたらまだあるかも」な風葬のハナシ |
先島丸 | 民俗風習 | 屋久島の「先島丸」という独特の葬送について |
ボゼ | 妖怪?! | 吐噶喇列島のひとつ悪石島に伝わる仮面神「ボゼ」のこと。そもそも島の名前が面白い! |
トシドシ | 妖怪?! | 甑島(こしきしま)に伝わる妖怪。「トシドシは大みそかに首のない馬に乗ってやってくる」 |
離島における、ボゼやトシドシといった妖怪(厳密には神サマといったほうが正しいかもしれません)を巡るハナシも興味深いですが、
私としては西南戦争関連の怪談や伝説にがぜん着目してしまいます。たとえば西郷隆盛の「ロシアへ脱出して生存している伝説」、これは面白い。当時の明治人にとって、恐ろしくも気になる「外国」といえば真っ先にロシアだったのかもしれません。
しかし本書の白眉は、やはり、濱幸成さん自身が城山公園で体験した怪談でしょう。
城山公園で車中泊をしていたら、西南戦争に関連ありそうな怪異が襲ってきた、というもの。
実に貴重な証言と思いました。というのも、幽霊を信じていようと信じていまいと戦争遺跡という場所を観光していると何かしら不思議なことが起こるのは、私自身の経験も含め、よく聞くハナシだからです!
これが何なのか、かつ、日本人だけに起こることなのか世界の他国でも「戦争遺跡」とはそういう場所になるのかは、調査不足、私もまだよくつかめていません。
というわけで、以下の参考文献の紹介でした。鹿児島の怪談妖怪はこれからも掘り下げ続けます。
鹿児島の怖い話〜西郷星は燃えているか〜【電子書籍】[ 濱幸成 ] 価格:1,100円 |