フェイクドキュメンタリー考察

『ほんとうに映った!監死カメラ2』は妖怪くねくねと思われるモノを扱った映像が面白かった【フェイクドキュメンタリー幻視行】

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今回は、『ほんとうに映った!監死カメラ2』についてレビューを書きたいと思います!


ほんとうに映った!監死カメラ2

以前の記事でも申し上げた通り、私が好きなのは、「フェイクドキュメンタリー」という形式のホラーなので、本シリーズにもそのテイストを強く期待してしまっている。

そんな私からすると、やはり、単に「これは〇〇県〇〇市に設置された監視カメラがとらえた心霊映像である・・・おわかりいただけただろうか?」とやっているパターンよりも、

「この不可解な映像が撮られた場所を取材してみた・・・」という、取材班突撃パートがあるパターンのほうが心が燃えます!フェイクドキュメンタリーらしくなりますからね。そういう視点で見ると、ついに第二作では、いくつかの映像について「我々はこの映像が撮られた場所へ調査に出かけた・・・」パートが出現したことを、心から歓迎します!

そうですね、まずこの素地があってからこそ、寺内監督チームが加わった後に、監督本人やスタッフたちが顔出し名前出しで登場し、突撃取材を試みてしばしばひどい目にあう(時には怪異の原因とされていた「地元で信仰されている大切なモノ」をうっかり寺内監督チームが破壊してしまうというギャグすれすれの冒険展開も発生するw)というあのスタイルの『監死カメラ』伝説が始まるのですからね!

この第二作あたりは、そんな後年のスタイルの予兆が、少しずつ少しずつ見え始めている、いわばシリーズコンセプトの胎動期と言いますか!w

そんな中では、私としては、畑泥棒をとらえた映像、というのが一番面白かった。

地方の畑から作物を盗み、東京で格安で売っているという、よくニュースになるあの形態の犯罪ですね。それを映し出した監視カメラの映像について、

確かに、画面の恥、畑のすみっこで、

なんだか白くてフワフワしているものが、くねくね、くねくね、映像の中で揺れているんです。

「いったい、この白いものはなんなのだろうか?」
「話によると、この畑泥棒は、この映像が撮られた後に精神に異常をきたしたという・・・」

などとナレーターが話し続けていますが、

ヒトコトも「くねくね」とは作品中で明言されることはありませんでしたが、都市伝説や妖怪好きな視聴者は絶対に食いついちゃう映像ですよねコレ。「いや、、、これ、都市伝説に出てくる、『くねくね』じゃないんですか?!」って

ナレーターが、「これは、もしや、ネットで噂になった妖怪、くねくねをとらえた映像だとでも、いうのだろうか・・・」とオドロオドロしくしゃべることも、できたはずなのに、

「くねくね」だとは、ヒトコトも、言わないw

ヒトコトも言わず、ただただ、都市伝説や妖怪好きな視聴者に、「そうとは言っていないけど、好きな人は、もう、この映像を見ればわかるよね?これ、あの都市伝説の映像ってことだよ?わかるよね?」とウインクしてくる感覚w

都市伝説や妖怪に詳しい人にちらちらと目くばせをしてくるオシャレ感覚!

いいですねー!これですよ、この調子ですよーw!凡作だったら「ついに妖怪くねくねを映像にとらえることに成功した!」とナレーションで言っちゃうところを、『監死カメラ』は、そんな安易な道を選ばない。「田舎の畑に現れ・・・白くて、もやもやしていて・・・ずっと揺れている・・・これはいったい、なんなのだろうか・・・?!」とスタッフ一同がしらばっくれ続けるw。「我々は現地に取材してみた」と、しらばっくれて取材に向かうw。で、あの白いモノに関わった人は精神に異常をきたす、という地元の人の証言(w)をインタビューで確認し、「なぜ精神に異常をきたすのか・・・なぞは深まるばかりだ」としらばっくれ続ける。

「いや!だ・か・ら!それは妖怪くねくねでしょ?出会った人間が気が振れてしまうというところまで、都市伝説のくねくねそのままの展開でしょ?」と視聴者にツッコんでもらうのを、ずーっと、しらばっくれて、待っているんです。絶対に『監死カメラ』のスタッフ陣はくねくねの都市伝説なんぞには詳しいはずなのに!都市伝説好き・妖怪好きの視聴者のツッコミを喚起するために、作品中でスタッフ全員が、知らないフリを押し通す!いいですねーこういう奥ゆかしい遊びがいいですね!

↑なんだか、オモシロととらえているような文章に読めるかもしれませんが、、、まぁ怖い中にもそういうオモシロ遊びがぎっしりなのが『監死カメラ』のよいところと思うのですが、、、しかし、ここでひとつだけ注意を!

『監死カメラ』は、この手のコンテンツに対して目の肥えた視聴者を唸らせる仕掛けがいろいろとあって面白いシリーズなのですが、出てくる心霊映像はけっこうガチ怖いのがあるので、そこは要注意ですぞ!真夜中に一人でヘッドフォンで見ていたりすると、けっこう背後の暗がりが怖くなっちゃうかもしれませんよ。

毎回の仕掛けの楽しい『監死カメラ』だが、きちんと、怖いところはがっつりと怖いのだ!いやむしろ、怖いところはしっかり怖いがゆえに、その手の「しかけ」の妙も効果抜群に活きてくる、と言いますか。

この手の「映像的には怖い+視聴者との駆け引きもあって楽しい」というスタイルのホラーが好きなら、『監死カメラ』や『境界カメラ』はなんともオススメでございます。ということで、私も本シリーズの次回以降の作品も続々、紹介記事を書いていくつもりです。そして私としては、今後の日本の低予算ホラー界にも、「もっと怖く」「もっとショッキングに」を目指すのではなく、このような「視聴者へのめくばせ」の活きた味わいのあるオシャレな作品が続々と華開いてほしいと願っているところなのでした。


ほんとうに映った!監死カメラ2

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