雑記

「妹の力」を柳田國男先生の命日に読む

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ところで、本日、八月八日。

フォークロア好き・妖怪好きには大事な話、柳田國男先生の命日です。

命日ということで、柳田國男先生の本をひとつ手に取ろうと思い、本棚から手に取ったものが、『妹の力』でした。

妹の力 (角川ソフィア文庫) [ 柳田 国男 ]

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こちら、書名は「妹の力」となってはおりますが、

いわゆる「兄妹」の妹のみならず、日本古来の伝承や民藝の中に生きる「女性像」とその力を徹底的に追いかけたものです。

なんとも壮大な対象を扱った作品ですが、柳田國男先生の著作に顕著なように、膨大な事例と考察を展開した上で、残りの考察を後世にボンと宿題のように提示して終わっているところがあります。

読んだ人間が自分なりに「日本における『女性』とはなんだろう?」というテーマを受け止めて、展開して、はじめて意味が出てくる本となりましょうか。

そして言うまでもなく、「男女共同」というテーマが重要になってきている今日にあっては、ますますこの問いは重きを増しているわけですし、

柳田國男先生の考察をそのまま受け入れれば終わり、というわけにもいかない複雑な陰陽を孕んでいることは周知の通り。

しかし、柳田國男先生いわく、

「ところが今日のもの知りには、卑俗なる唯物論者が多く、かくのごとき兄妹間の新現象をもって、単純なるエロチシズムの心理に帰せんとし、一方にはまた常習の悲観家なる者がこれと合体して、往々にしてこれによって解放の弊をさえ唱えんとするように見える。しかしその観察は明瞭に誤っている。」

「それにはまず女性自身の、数千年来の地位を学び知る必要がある。これをわれわれのような妹を持たぬ男たちに、一任して顧みないのはおかしかったと言い得る。人間の始めたことに本来意味のないことはありえないのに、これを迷信などと軽く見てしまって考えてみようともしなかったのは、同情のない話であったということを、改めて新しい時代の若い婦人たちに説いてみる心要があると思う。」

という指摘はごもっとも、と私なんぞは思ってしまう。

「昔の日本人が女性というものをどう見ていたかなんて、どうせ迷信と偏見のカタマリに決まっている」と頭から拒絶するのではなく、

数千年の生活の中でひとびとがどう考えてきたかを見るところから始めること、決して悪いことではないと思うのですが如何に??

おっと、ところで!余談ながら!

「柳田國男先生の本に、いわゆる『うつぼ舟』伝説についての考察がある筈ですが、どこに載っていますか?」と道に迷った方へ。この『妹の力』の中に、まるまる一章、日本各地のうつぼ舟伝説を扱っている箇所があります。そしてこの章、単体で読んでも、めちゃくちゃ面白いです!

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