【読書日記】アリスとチェシャ猫がトルコのUMA(未確認生物)「ジャノ」の正体に迫る

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本対話篇の登場人物

【アリス】『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』で有名な御仁。ですが本対話篇のキャラ付けは、どちらかといえばAmerican McGee’s Aliceの影響を受けています

【チェシャ猫】こちらも『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』で有名な上、ボルヘスの『幻獣事典』にも晴れて(!)採用された有名キャラ。ですがこちらもAmerican McGee’s Aliceのキャラ設定に寄せています

とある夏の夕暮れのアリスとチェシャ猫

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こんにちは、チェシャ猫さん。今日もヒマそうね?どうせ枝の上で日がな日向ぼっこしているだけなら、今日も私のハナシにつきあってくれない?

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おやおや急になんだい?両手に本を引っ提げて。さてはまじめに地理の本でも勉強しているのかい?そんならいい心がけだ。しっかり勉強すれば、ウサギ穴に落ちた時に「このまま落ちていけばオーストラリアに上下さかさまに飛び出しちゃう」なんて素っ頓狂なセリフを吐いて、21世紀まで恥を晒さなくて済むようになるだろうからね

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・・・まぁ、地理の勉強っていえば、そういえなくもないけど。実はこんな本を読んでいたの↓↓↓

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おおおっと!こいつはまた、凄い一冊を引っ提げてきたもんだね

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さすがはチェシャ猫さん。この本、知ってるの?

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ノンフィクション作家の高野秀行さんが、トルコで目撃されたという伝説の怪獣ジャナワルを追いかけてトルコを旅した時の記録だ。UMA追跡モノとしてこんなに面白いものはない。もちろん、興味津々で何度も読んだ本だよ

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(まあ、チェシャ猫さん、考えてみればあなたもUMAみたいなものだしね・・・)

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しかし、この本を「ある意味、地理の勉強になる」と言った君の感受性は、パロディ感覚としては悪くないね。この『怪獣記』という本、怪獣追跡モノでありつつも、なるほど、トルコという国の普段は見えない裏世界をディープに覗き込める、エキサイティングな旅行記にもなっているんだ

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そうそう!ノンフィクションとして凄いの!たとえば、イスラム教圏にも「怪しげな新興宗教団」ってのがいて、都会にオフィスを構えて怪しげな政治活動しているなんて、この本のおかげで初めて覗けた。それにしても、チェシャ猫さん自身は、怪獣ジャナワルを信じる?

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トルコの怪獣ジャナワルねえ。面白いネタだ、少し、その話題でおしゃべりしようか?

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ぜひ!

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トルコの怪獣ジャナワル(ジャノ)とはなにか?

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ジャナワル、あるいは「ジャノ」と呼ばれているのは、この動画で有名になったヤツだね↓↓↓

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そう、これね。これなのだけど・・・

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どうしたんだ?浮かない顔をして

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もう、しょうじきに・・・この動画、ビックリするくらいウソくさいのよね

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いやなに、正直、私も同感だよ。トリックではないにせよ、せいぜい何かの動物の見間違いってところで、これをもって伝説の怪獣と言われても、なかなかね。しかし、ハナシが面白くなるのは、むしろ、ここからなんだな

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感動すべきは高野秀行氏の恐るべし突撃力

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つまりだね、くだんの書『怪獣記』をめちゃくちゃ面白い本にしているのは、「この明らかにインチキっぽい映像だけをかぼそい手掛かりに、トルコへ乗り込んでいった高野さんの突破力」そのものなんだな

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それは私も感じた。高野さんご自身が、本の中で何度も、「怪獣ジャノに出会う旅などという企画自体が、絶望的な企画であることは承知である」って意味のことを繰り返しているし

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「日本を出発する前に見た確認した、問題の『ジャノ目撃映像』も、どうにも心細くなる内容だった」的なことも言っちゃってるしな

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凄いのが、いざトルコに乗り込んで取材を開始しても、トルコで会う人会う人から、「なに?怪獣ジャノを探しに来た?だははは!あんなインチキ動画を信じて日本から来ちゃったのか?バカだねー!」と大笑いされ続けることよね

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「なんてこった、トルコ人たち自身が、いちばん信じていないではないか!」って

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そうそう。読んでいる私もめちゃくちゃ笑ったところだったわ

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感動すべきはトルコの人々のあったかさ・懐深さ

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でも、凄くいいと思うのが、そうやってバカにしてきたトルコの人たちがみんな、とっても親切なところなのよね

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それも、後半どんどん、問題の湖に近づくために田舎に入って行くにつれて、ますます人々の親切ぶりもアツく感動的になっていくんだよな

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なに?怪獣ジャノを探しにわざわざ日本から?ギャハハ、バカだなあ!まあ、メシでも食ってけ!」みたいな明るいノリの人ばかりで

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ごはんをおごられたり泊めてもらったり

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こんなトルコの姿は、普通の「イスタンブール女子旅一週間!」みたいな類の本には、ぜったい出てこないわけだから

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そうだね。そのうえ、ジャノの情報を追いかければ追いかけるほど、トルコの新興宗教団体や、極右政党や、ついにはクルドの独立運動の話にまで巻き込まれと、普通の旅行記では絶対に出会えないような、トルコのエキセントリックな界隈の人々が続々と登場してくる。「ある意味」トルコにめちゃくちゃ詳しくなれる本だな

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とってもディープなトルコ事情にね。それでいて肝心のジャノの正体には、ぜんぜん辿り着けない・・・と思いきや、ラストで感動の大逆転事件が起こるわけよね

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そうだね。ま、あのラストは、これから本を読む人のお楽しみにしておこうか

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つまりこれは水曜スペシャル?!

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でも、この本、つまり、アレなんだよね・・・

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ん?アレってなに?

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川口浩探検隊」や「水曜スペシャル」を見て育った世代には、もうこのノリ自体が懐かしくてたまらない本ってわけなんだよ。そういう意味では、特定の世代の男子を狙い撃ちしている本なのかもしれないね。このブログの管理人なんか、ドンピシャのマーケティングターゲットなんじゃないかなぁ?まぁ、そうなると、19世紀ビクトリア朝の君には、このノリはわかりづらいことになっちゃうけどね

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え?なんのこと?わからない。「カワグチヒロシ」ってなあに?チェシャ猫さん?

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ほら、知らないだろう?時代が違うもの、知らなくて当然だ

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もしかして猿人バーゴンとか怪鳥ギャロンとかのハナシ?

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なんだ、知ってるじゃないか

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