『怪談のシーハナ聞かせてよ。』第壱章レビュー集

さまざまな切り口からのベスト怪談集:真似したくなる語り口10選

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『怪談のシーハナ聞かせてよ。』の楽しみ方は、毎週入れかわり立ちかわり登場する怪談師さんたちの語りのテクニックを堪能することにあり!

その観点から見たとき、思わず語り口を真似したくなる怪談回、というものをピックアップすることが可能です。

・・・という次第で、全54放送回中の333怪談から、私が語り口にほれ込んだ怪談10個を集めてみました!

『雪国』

「気のせいかさ?」などなど、牛抱せん夏さんが長野県の方言を随所のセリフに投入した語りで怪談を語ってくれた回です!雪深い田舎でのオハナシということで、この方言の投入が雰囲気づくりにばっちり貢献している!とはいえこれはもちろん地方出身の方でないと使いこなせないワザ、となりますが、地元の怪談を語る際に土地の雰囲気を出したい、という地元愛溢れる方はぜひチャレンジしてみたい怪談語りではないでしょうか!それにしても私、牛抱さんはずっと千葉県出身(つまり私と同郷)と思い込んでいたのですが、千葉に来る前の幼い頃には長野県の野沢温泉村にいらっしゃったのですね。

『上手な絵』

語りスピードの緩急に注目したい!女の子の様子がだんだんおかしくなっていくに伴い、絵を描いている時の鉛筆の音、「シャシャシャシャシャー!」が、どんどん早くなっていきます。クライマックス(しかもなんとも凄惨な破局)に向かってどんどんアクセルを踏んでいく感じの語り口が怖い!

『鈴』

山口綾子さんの表情・口調がだんだん無表情かつ無機質になり、ブキミさを盛り上げていく怪談。つくづく、「間のとりかた」がうまいな、と聞いていると、途中で恐ろしく長い「間」をとります。・・・と思ったら、なんとこの時の間は意図的なものではなく、山口さんは本当にこの瞬間、何か「ヘンな耳鳴り」を食らっていたそうです。怖い、やめてー!語り口のテクニックに相乗して、ナニかがほんとに来てしまった瞬間、とでもいうのだろうか!

『鼠』

まさに怪鼠(としか呼びようのないモノ)が歩き回るオハナシです。吉田会長の「タッタッタッタッタ、カリカリカリカリ、トトトトトト!」という擬音語の反復が情景を盛り上げます。それにしてもナニモノだったのだ、「あきやまみさえ」!?

『第五號室』

怪談のシーハナを語る上では避けて通れない『怪談社スペシャル』で披露された一遍。糸柳さんと上間さんの二人がかりでの語りというオオワザが炸裂、すごいです!怪談が終わった後の、狩野さんのコメント、「ハナシの受け渡し方(びっくりするから)どうにかしてくんないかなー」に笑った。はい、同じ気持ちです。「からから」のところで狩野さんめちゃくちゃびっくりしたんですね。ハイ、私も「からから」のところでビックリしましたよ!

『温泉旅館の露天風呂』

最初はハナウタで表現していた音楽のメロディーが、少しずつ、歌詞つきの唄に変わっていきます。「ふーんふんふんふん・・・ふにゃのなかのとりは」と、みんなが知っている(そしてみんなどこかで気持ち悪いと思っている)あの唄にだんだん変わっていく感じがたまらない。やっと終わった、と思ったら・・・最後にもっかい、このメロディーの反復による追い討ちが!

『いいものがあるよ』

怪異にまきこまれた体験者の主観が、ふと、元の駅の情景に戻るところの話調の切り替えに注目したい!駅のホームの喧騒の表現→「ねえ、いいものがあるよ」と声がして主人公の主観になる(この間、ひっそりと静かになる)→主人公が我にかえった途端にぱああんと喧騒が戻ってくる。そんな、映画のスローモーション効果のような、語りの妙!

『おばあさん』

「幽霊とか呪われたとか、そういう因果の整然としたハナシであれば比較的ラクなんですが、そうではないハナシというものが怪談を集めていると入ってきまして・・・」という背景説明から入ります。このように、これから始まる怪談の傾向を最初に話してしまうのは大胆なようですが、本作では、これが怪談への期待度をグンと高めて、とても効いている。実際、この『おばあさん』というハナシ、いったいなんだったのか最後までブキミなモヤモヤが残るのでめちゃくちゃ怖い!怪談の語り手自体が正体不明という珍しいパターン。

『せんせえ』

めちゃくちゃ私が好みなこの怪談についても語らせてください!こちらは、今度は「(怪談を教えてくれた)体験者自身がどこかでウソをついている?」という疑惑を感じさせるという、ミステリアスな怪談。でも、いちばん素敵なのは、深夜テレビでアイドルが歌を歌っているシーンを再現するときの、マイクを持つ手真似をしながらの吉田会長の「ふんふんふんふーん」という情景描写そのものなのです。か、、、かわいい。

『演説』

この怪談における上間さんの名人芸は何度でも聞きたい!会社の朝礼での、クソイヤミな上司の演説の描写があるのですが、この上司が狂った時の描写がヤバすぎる。上間さん自身に何か人外のモノがとり憑いたのではないか、と思えるほど、狂気にとりつかれた人物の演技が迫真で、もうたまらない。それがこの名作、「演説」なのでした。

※次回はまた視点を変えます。今度は「ゲストで呼ばれた怪談師さんの自己紹介が既に怖かった」放送回5選をピックアップして紹介致します!私の中でいまだにトラウマ回となっている、「怪談師さんが収録にたどり着く直前に怪異が起こり急遽内容を変更した」あの事件回も紹介します!

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※『怪談のシーハナ聞かせてよ。』第壱章は2024年5月現在、DVDはGEOにて貸出可能、放送第40回以降からはU-NEXTで動画配信中と確認できております。

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