怪異妖怪をめぐる冒険が『きみの体は何者か』に結びつくとき

「怪異」とか「妖怪」とか呼ばれるものとの付き合いはずいぶん長い。

そして深く掘れば掘るほど、気づいてくることがある。

私が「怪異」とか「妖怪」とかを通じて考えていた問題意識とは、実は「身体と言語」をめぐる問題意識だったのではないか、と。

奇妙な体験をする。怪異や妖怪の「実在」を信じるかどうかはあまり関係なく、何かを体験してしまった人は、身体に「きみのわるい感じ」が残る。その「きみのわるい感じ」は言語にして人に伝えることでようやく自分の中で位置づけられる。それが共同体の中で位置づけられると、今度は「○○とぎ」「○○おとし」「○○鬼」のような、名前がつく。それによる「きみのわるい感じ」の昇華と、または、「きみのわるい感じ」の残滓に、私は興味を持ってきた。

ということは、少なくとも私にとって、妖怪学の関連科学は言語学であったということになる!!

そんなことを考えていた最近。

伊藤亜紗さんの「きみの体は何者か」を読んだ。主に吃音の問題を中心に据えて、身体と言語の関係を扱った、少年少女向けのわかりやすい本だった。

吃音による、言いたいことと、それが言えないこととの「ズレ」の話は、けれども、吃音を持っていない人が「無意識にでもべらべら喋れてしまう」がゆえに気づいていないたくさんの問題を抽出する。

そして本書が示してくるように、「自由にべらべら喋ることができる」ほうが、はるかにフシギで、異常で、よくよく考えると、危険なことなのだ。

ともかく。

本書が主張する、「ズレへの注視」というテーゼに私としてもとことん賛成をしたい。

そして、冒頭でも述べたとおり、私が「怪異」とか「妖怪」とか呼んでアプローチをしていた対象とは、実は「身体と言語のズレ」に対するこだわりであったのかもしれないわけだから。

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小泉八雲『耳なし芳一』の英文がいかにカッコいい「ツカミ」になっているか存分に語らせてください!

このブログの随所でも事あるごとに言及しておりますが、

ハイ、私、小泉八雲が大好きです。

なにせ小泉八雲の『怪談』を英文で読みまくることで英語の勉強にしていたという学生時代の経緯もあります。それゆえ、彼は私の英語の恩師とも言えまする。エエ、そりゃたしかに、十九世紀な英語ということで今風にはいささか古い語彙を使っている方ではあります。

それでも、『怪談』の英語はいまだに私にとって最高です!美文名文というよりは、このドライブ感というかアトモスフィアというか、それらがちょうど私と相性がよい。

特に『耳なし芳一』のオープニングは最高です。凄まじいアラワザを多彩に盛り込んだ「ツカミ」といっていい!

どういうことか?

そこのところを、今夜はちょっと語らせてください!

More than seven hundred years ago, at Dan-no-ura, in the Straits of Shimonoseki, was fought the last battle of the long contest between the Heike, or Taira clan, and the Genji, or Minamoto clan.

これが書き出しのセンテンス。いいですか皆さん、これ、小泉八雲がターゲットとしている読者は日本のことなんかほとんど知らない19世紀末〜20世紀初頭の英米人なのですよ。普通だったら「そもそも源氏と平氏というのは云々」とか、「これは日本史を決定した重要な合戦で」とか、ウンチク説明をしたくなるところのはずです。

ところが、怪談ストーリーテラーとしてツボがわかっている小泉八雲は、そういう野暮なことをしない。

「ダンノウラ」も「シモノセキ」も「ヘイケ」も「ゲンジ」もそのまま固有名詞として出して、説明抜き、語感だけで突っ走ります。余計な説明を入れるよりもこれら日本史用語をそのまめ放り込むことでエキゾチズムに乗せちまおうという判断でしょうか。この反-説明主義には恰好よさを感じます

それだけではありません。このあとの文章は、

infant emperor likewise—now remembered as Antoku Tenno.

ときて、

Elsewhere I told you about the strange crabs found there, called Heike crabs, which have human faces on their backs,

ときて、

pale lights which the fishermen call Oni-bi, or demon-fires;

とくる。

この一連の導入文の中で、「安徳天皇」と「ヘイケガニ」と「平家の鬼火」という、日本の怪談・怨霊史を語る上で外せない三要素を惜しみなく一息に登場させているのです。ギリシャ生まれアイルランド出身のジャーナリストがですよ!どんだけ日本怪談の「おさえるべきポイント」をしっかりおさえているんだ!しかもそれを並列で一息に語ってしまう贅沢さ。

そして、凄いのが、

安徳天皇を語り、ヘイケガニを語り、鬼火を語ったところで、

「そういう怨霊を鎮めるために阿弥陀寺という寺が建てられた。で、そこに芳一という盲目の男が住んでいた」と物語をいつまにか始めているんです

背景説明から自然に物語の主人公に視点が入っていき、いつのまにかストーリーが始まっているという、

映画のオープニングで、遠景からだんだん主人公のところへカメラがクローズアップしていくような、この導入のスムーズな流れが、たまらんのです。

怪談とは、まさに「語り」の文化。小泉八雲先生はあくまで英文での書籍で怪談を発表していた人ですが、この「時代背景からグググっとスムーズに主人公が登場している感覚」はぜひぜひ、怪談語りの際には参考にしたい「テクニック」なのではないかと思うのです!

そして、「わかりやすい文章を書こう」というハナシは自己啓発系含めてたくさん溢れていますが、「短くするだけが読みやすさではない!」「用語をわかりやすくすることだけが読みやすさではない!」実例として『耳なし芳一』をぜひ扱ってほしい。

と、熱く語ったところで、またしても今夜も私は『耳なし芳一』の英文朗読をオーディオで聴きながら眠ることにします。おやすみなさいませ!皆様、運が良ければ、明け方の悪夢の中で会いましょう!

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『妖怪の日本地図・九州沖縄』が示した「妖怪の四グループ」分類に賛同します!

児童向けの本でしたが、とても参考になりました。

千葉幹夫さん粕谷亮美さん、そして石井勉さんによる『妖怪の日本地図・九州沖縄』(大月書店)です。

何が参考になったのか。

この本の序文が、素晴らしい。

厳密には、この本の序文で語られている、妖怪観とよび妖怪の分類が、とても納得できるものなのです。

まず、

夜道を歩いていると、後ろから足音が聞こえますが、ふりむいてもだれもいません。夜の山中、だれもいないはずの場所で大木が倒れる音がします。川から見たこともない手が出てきて、人を水中にひきこもうとします。このように、人にとってふしぎなものやおそろしいことに名前をつけたものが、妖怪のはじまりと考えられます。

『妖怪の日本地図・九州沖縄』(大月書店)

私もこの妖怪観に賛同します。

一点だけ私ごときから意見をさせてもらえるなら、三つ目の例、「川から見たこともない手が出てきて」のところ。それはもうすでに「できあがった妖怪変化」との遭遇になってる気がするので・・・「妖怪のはじまり」を語る例としてはふさわしくないようにも見える。「川に落ちて溺れかけた人が、なんだか見えない手に引っ張られたような気がすると助かった後に言います。これも妖怪のはじまりです」とするなら、とてもよくわかる!まあこれは私の瑣末な異論。

他にも、この短い序文は実に面白い。

上述の箇所に続いて、妖怪を以下の四グループに分類する考え方を述べているのです。すなわち、

・自然現象に対してのフシギから始まったもの

・動物に対してのフシギから始まったもの

・古くなった動画に魂が宿る、という信仰からきたもの

・古代において滅ぼされた地方の小国が由来となるもの

いちばん注目したのは最後のやつです!

明言はされていないですが、大和朝廷に滅ぼされた東北やら九州やら山陰やらのことですよね。これを子供向けの本の中で避けることなく説明しているのは、素晴らしい。

古代において滅ぼされた」勢力の妖怪化を語るならば、「ツチグモ」問題という実に奥行きある深みにハマるのでここではやめますが、

すっきりと整理された妖怪観が、子供向けの平易な文章の中でキチンと表現されていて、こちらの本、たいへんな共感を覚えました!

↓↓↓

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『となりのトトロ』の「ばあちゃん」は妖怪学の天才である!

※画像はジブリ公式サイトでの配布素材を使用しております

日本史上における妖怪学の先達の中で、私が完全にその学説に共感し、その立場を現代に継承しようとしている偉大な人物がいます。

となりのトトロの「ばあちゃん」です。

ところがこの妖怪学者の理論を体得するのは、たいへん難しい。

本人がいっさいの大学機関に身を置かず、在野に隠れて人生を過ごしたという特異な経歴である上に、

その思想をいっさい著作に残さず、口伝のみで周囲に語っていたからです。

よって私たちは、この天才的な妖怪学者の思想を、断片的に伝わるわずかな言説から、再構築するしかありません。

しかし、彼女の言葉は、妖怪理解という点で研ぎ澄まされた迫力を持っており、

わずかな断片でも十分に、後世の妖怪研究者の心を激しく震わせるのです。

一例を挙げましょう。

「ばあちゃん」が、妖怪ススワタリについて語ったとされる、以下の言葉です。

「こりゃ、ススワタリが出たな。だあれもいねぇ古い家に湧いて、そこら中、ススと埃だらけにしちゃうのよ。小ちぇー頃には、わしにも見えたが、そうか、あんたらにも見えたんけぇ」

ここで、その場にいた、普段は妖怪などに興味はないと思われる都会出身の人物が、「それは妖怪ですか?」と、いささか野暮な質問を、「ばあちゃん」にしたとされています。

それに対するこの妖怪学者の返答が、まさに、この人物の天才性を感じさせる、含蓄に富んでいます。

「そったらおそろしげなもんじゃねえ。ニコニコしとれば、悪さはしねぇし、いつの間にか、いなくなっちまうんだ」

どう見ても「妖怪の話」と思われる流れだったのに、「それは妖怪か?」と聞かれると、このようにはぐらかして論理的議論を解体してしまう。この含蓄の豊かさには唸らされます。

しかも驚愕なことには、この「ばあちゃん」、自らが「ススワタリ」だと説明したにもかかわらず、目の前にいた子供たちが対象の妖怪を「まっくろくろすけ」という誤った名称で呼んでいることを完全に許容し、むしろその名前を奨励しているような素振りすら見せるのです。

「それは妖怪であるか、妖怪でないか」など、どうでもよく、

妖怪」という定義も、本来的ではなく、

「ススワタリ」という自分たちの世代がつけた名前が、新しい世代において「まっくろくろすけ」と書き換えられることすらも、「それでよいこと」と許容する。

カテゴリー分けも、名前も、分類も、どうでもよい。彼女が重視したのは、「同じような身体的体験を次の世代にも体験させる」というただ一点の「共感」でした。

これは体型づけや名称にこだわる、井上円了とも、柳田國男とも違う。あえていえば南方熊楠の見解に似ていますが、ある面では熊楠よりも過激です。

妖怪学そのものの学問性すら切り崩しかねない、「身体体験一発のみを追う、ウルトラ現象学者」とでもいいますか!このような発想の人物が、アカデミズムからはまるでノーマークのまま、在野で生涯を終えたことは、しかし彼女の妖怪思想の過激さから見れば、運命だったかもしれないことでした。

だが私は、「田舎にいったとき、廃屋にいったとき、あるいは古い旅館に泊まったときに感じる、ゾワゾワとした、あの身体体験!」、あれこそが妖怪だと思いますし、名前づけや分類わけなどは結局は枝葉の問題、あくまでも身体体験に即して妖怪を感じたい。

私は「ばあちゃん」の思想をそのように理解し、継承していきたいと思うのです!

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私の体験した不思議なハナシ其の弐:「秘密の通路」

当ブログの管理人である私、山神ヤシロの実体験を怪談師の和泉茉那さんが動画にしてくれました!

和泉さんが考察を付けてくれたのも嬉しい!

YouTubeに上がっているコチラとなります!

↓↓↓

ちなみに、この話に登場私の兄というのは、でっちあげ話を捏造できる訳もないカタブツなのですが、こういう奇妙な話にしばしば巻き込まれるナゾの人です…ウソをつく人ではないので、やはり、「何か」はあったのだと思います…


まんが学術文庫『群集心理』に描かれたフランス革命時代が並々ならぬトラウマになったこと

フランス革命を舞台にした作品とえば、遠藤周作先生の小説『王妃マリー・アントワネット』とか、坂本眞一先生の漫画『イノサン』とか、強烈なインパクトのものはいろいろありますが、

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私にトラウマを植え付けた本というならば、まんが学術文庫から出ている『群集心理』にまさるものはありませぬ。

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群集心理』という本からは想像できない内容になっていると思いますが、実は、

これはロベスピエールを主人公にした漫画になっているのです。

ロベスピエールが群集の熱狂を背景に恐怖政治を敷き、たくさんの人を殺戮したあと、

今度は掌を返したかのような群集にリンチされ殺される変転を描いたもの。

そしてラストページの、「何かまた、熱狂できるものを!」求めてイナゴの群れのように暴走する群集心理の戯画は、現代を考え上でもいろんな示唆に富んでいるのではないでしょうか?

群集の熱狂こそ世界を陰で動かしている最大の怪物だという予感。

しかし、本作品のいちばん恐ろしいところは、この漫画に描かれている物語だけでも、まだまだなまぬるく、史実のフランス革命で「反革命」のレッテルを押された人たちが辿った末路は、少年王子ルイ17世の事件を含め、もっと残虐だった、というところです。

リアルな歴史を上回る「怖い話」は結局、ないのかもしれない、、、。

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『怪異の風景学』(古今書院)が語る「千と千尋の神隠し」からの比喩としての妖怪学のこと

※画像はジブリ公式サイトの公開画像より

佐々木高弘さんの『怪異の風景学』という本にがぜん注目しています。

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ヤーコブソンの言語学に妖怪民話を当てはめてみたり、パースの記号論に妖怪民話を当てはめてみたりと、もっぱら構造言語学と記号論をベースに、日本の「怪異・妖怪」なるものに切り込んでいく試み。

つまりバリバリの構造分析の本ですが、しかし表面的な分析テクニックなどよりも、ずっと注目したいのは、

序章で語られる佐々木高広さんの、妖怪に対する向き合い方。

本書では、妖怪というものを実在するものとは考えていない

という、きっぱりとした宣言に始まり、

しかし妖怪の存在意義は認める。それどころか、もっと正しく評価されるべきと考える

とされています。つまり「実在」を拒否しつつ、「そういうモノがあたかもいるかのように語る意義」は全面的に残そうという立場となりましょうか!

なぜなら、

著者(=佐々木高弘さん)が地域社会に関わる中でしばしば見てきたのは、「客観的データ上、君達の役に立つ」というお上からの押し付けでの大規模開発工事に対して、そこに住む人たちの言語化されざる内的世界が犠牲になった事例をたくさん見てしまった

がゆえの、問題意識からであり、

妖怪のことを知れば、「客観的データ」と「住民たちの内的世界」の矛盾が解決できる議論の土台が築けると安易に考えているわけではないが、何か問題解決の糸口は掴めるのではないか

という期待を妖怪学にこめているからとの旨。

このスタンスには徹底的に賛同できます!

そして面白いのが、佐々木高弘さんは本書の中盤で、映画『千と千尋の神隠し』に触れ、

望んでもいない引っ越しに連れてこられた千尋の車のバックシートでの沈黙と、彼女の心の抵抗にまるで気づかず『この引っ越しはよいもの』とすました顔をしている母親との対比構造は、まさに地域社会の住民と、客観的データしか見ない開発側との間で、対話が成立していないという現代の問題の象徴に見える

としていること。

あー、『千と千尋』を使った、この比喩、なるほど凄くよくわかります!

そして、客観的データしか見ない母親が怪異には実は無力であり、内的世界の言語化がうまくできずにいた千尋のほうが怪異に驚かず立ち向かえたのだ、とまで深読みすると、なおのこと、この比喩的読みは、面白い!

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哲学の練習問題?『身近な妖怪ハンドブック』(文一総合出版)が投げかけてくる分類上の問いかけについて

shallow focus photography of black and green turtle

川村易さんといえば、現象学の西研さんと組んでの、こちらの著作や、

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こちらの著作が印象に残っている方です。

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そんな川村易さんが、なんと妖怪に関する本を出していたとは知りませんでした!それがコチラ!↓

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こちら、驚きの試みに挑んでいる本です。理科の本のパロディになっているのです。

妖怪を、形態や生息地、外来なのか日本土着なのか、そういった生物学的な視線でグルーピングをして紹介していくというもの。

『身近なサカナ』とか『身近な昆虫』とかいった子供向け理科本のパロディとしての『身近な妖怪』ハンドブックというわけです。

企画として面白い!

面白いと思うのですが、、、。

気になった点があるので、率直に申し上げます。なんで「カミツキガメ」が妖怪の一種としてさりげなく紛れて紹介されているのでしょう??w

もしかしてお笑いか?高度な冗談か?それとも批評精神で入れた「気づく人が気づく」ワンポイントというところなのでしょうか?

とにかく、普通に妖怪の紹介本としてページを巡っていると、いきなりのカミツキガメ出現なわけで、私はおおいに驚いた。

は!もしかして、これは「なにをもって妖怪と呼ぶか?」という問いについて、まさに哲学の練習問題、読者に投げかけているということなのか?

厳密な分類」とか「客観的な実在」とかを揺さぶるための哲学的思考実験を仕掛けてきているのか?

きっとそうだ!そうに違いない!

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【鹿児島の怖い話】濱幸成さんの著作から鹿児島にまつわる妖怪・怪異を(ネタバレなしで)整理整頓してみました!

以前以下の記事で、鹿児島県と本ブログ管理人のフシギな縁の話をさせていただきましたが、

その続きとなります。

ここからはいよいよ鹿児島県の「怪談・妖怪」のハナシを掘って行きます。

今回参考文献として紹介したいのは、濱幸成さんの『鹿児島の怖い話〜西郷星は燃えているか〜』

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労作です!

全国を旅しつつ怪談を集めて歩く濱幸成さんが、鹿児島に上陸した時の取材譚です!

城山公園で車中泊をする(「ナニか出てください」と言っているようなものだw!)等、まさに肉弾をもって、鹿児島の怪なるものを探りに行っています。

なかなか鹿児島のような遠方に行けない私のような東京人にとって、このような取材記の試みはきわめて貴重!必読本です!

私自身の読書メモを兼ねて、

本書に登場した妖怪・怪異を以下に整理してみました。鹿児島の怪異に興味のある方、ぜひ参考にしてみてください!

タイトルカテゴリー寸評(ネタバレなし)
城山公園 鹿児島市城山町実話怪談著者の濱幸成さん自らが城山公園で車中泊した時のハナシ。西南戦争がらみのナニモノかと推測
妙円寺実話怪談鹿児島県で収集した実話怪談。お祭りにかかわる不思議なハナシ
心霊写真実話怪談鹿児島県で収集した実話怪談。けっきょく何だったのかよくわからない不安感がとても良き
大きな人妖怪?!鹿児島県で収集した実話怪談だが、こいつは妖怪の類だったのかもしれない!
ごったん実話怪談鹿児島県で収集した実話怪談。「ごったん」という弦楽器をめぐる遺品整理のハナシ
げじべぇ妖怪?!鹿児島県で収集した実話怪談。橋にいたものは、伝承にきく妖怪「げじべぇ」だったのか?
竹の瀬戸心霊スポット島津と菱狩の古戦場
住吉池心霊スポット大蛇伝説のある池。大型魚?それとも大ウナギなのか?考察は尽きない
涙橋心霊スポット藩政時代の処刑場への通り道にして、西南戦争で死者の出た場所
開聞トンネル心霊スポット私も地図と写真で確認したが、見るからにヤバそうなトンネルですね確かに・・・!
上西園のモイドン妖怪?!森殿と書いてモイドン。妖怪というより土地の神サマ
屋久島灯台心霊スポット濱幸成さんが聞いたという「男の叫び声」のナゾが残る・・・
兼喜神社伝説いわゆる御霊神社のこと
若宮神社伝説島津分家を祀る神社のこと
芋焼神社伝説焼き芋を食べてばかりいた人の伝説・・・って、これめちゃくちゃ面白い話ですよ!!
安良神社伝説霧島市横川町にある神社の伝説紹介
波之上神社伝説鹿屋市高須町にある神社の伝説紹介
川上神社伝説指宿市開聞十町にある神社の伝説紹介
平松神社伝説鹿児島市吉野町にある神社の伝説紹介
生き肝取り伝説かつて薩摩の若侍が墓荒らしを退治したという伝説。豪快で豪放な武勇譚なのが薩摩らしい!
戸田観音妖怪?!観音様とセットで祀られている二匹のガラッパ(河童)のこと
江の島弁天伝説鹿児島県にも「江の島弁天」があったとは恥ずかしながら初めて知りました・・・!
十三塚原伝説神社と寺との屁理屈合戦とその始末
池王明神妖怪?!石田湖のイッシー登場!
持明像伝説「白粉つけて」と泣く石仏の伝説
隠れ念仏伝説一向宗の歴史にまつわる伝説
去川の関所伝説「二重鎖国薩摩」の関門を守っていた有名な関所をめぐる伝説
西南戦争伝説鹿児島の怪談を語る上で西南戦争の知識は大前提!西郷星のハナシと西郷ロシア脱出伝説
宝島伝説日本最後の秘境?
竜ヶ水伝説水害を巡る歴史のハナシ
桜島伝説この有名な火山を巡る歴史のハナシ
オットイ嫁女民俗風習いわゆる略奪婚のこと
牛と祭り民俗風習カギヒキ神事とガウンカウン祭り
奄美の風葬洞民俗風習「一部の離島ではもしかしたらまだあるかも」な風葬のハナシ
先島丸民俗風習屋久島の「先島丸」という独特の葬送について
ボゼ妖怪?!吐噶喇列島のひとつ悪石島に伝わる仮面神「ボゼ」のこと。そもそも島の名前が面白い!
トシドシ妖怪?!甑島(こしきしま)に伝わる妖怪。「トシドシは大みそかに首のない馬に乗ってやってくる」

離島における、ボゼやトシドシといった妖怪(厳密には神サマといったほうが正しいかもしれません)を巡るハナシも興味深いですが、

私としては西南戦争関連の怪談や伝説にがぜん着目してしまいます。たとえば西郷隆盛の「ロシアへ脱出して生存している伝説」、これは面白い。当時の明治人にとって、恐ろしくも気になる「外国」といえば真っ先にロシアだったのかもしれません

しかし本書の白眉は、やはり、濱幸成さん自身が城山公園で体験した怪談でしょう。

城山公園で車中泊をしていたら、西南戦争に関連ありそうな怪異が襲ってきた、というもの。

実に貴重な証言と思いました。というのも、幽霊を信じていようと信じていまいと戦争遺跡という場所を観光していると何かしら不思議なことが起こるのは、私自身の経験も含め、よく聞くハナシだからです!

これが何なのか、かつ、日本人だけに起こることなのか世界の他国でも「戦争遺跡」とはそういう場所になるのかは、調査不足、私もまだよくつかめていません。

というわけで、以下の参考文献の紹介でした。鹿児島の怪談妖怪はこれからも掘り下げ続けます。

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子供と一緒にPCで妖怪ホラーゲームを開発してみようと試みた夏休み日記2022_其の弐

Unityを使って子供と一緒に「妖怪が出てくるホラーゲームを作ろう」と試みたハナシ。

昨日からいろいろ試行錯誤をしているところですが、いちどドツボにハマって、抜け出したことがあるので、自分用のメモとしても、誰かの役に立つかもしれないメモとしても、ここに記載しておきます(※2022年8月13日現在の情報です、あしからず!)

事象:UnityにAsset StoreからStandardAssetsをインポートしても、そのままでは動かない?!

正確には、以下のような真っ赤なエラーメッセージが出てしまい、テストプレイをしようとしても「さきにエラーメッセージを解消しろよコラァ」みたいに警告されて、エンジンが動いてくれない。

どうやら、StandardAssetsの中に、コード的に非推奨な書き方をしている行があるので、そこを推奨のコードに書き直せと言っている。

非推奨の書き方も何も、公式ストアからインストールしたものなのですが・・・などと言っていたら洋物のゲームエンジンで開発はできないw。こういうときは、「そうですか。何があったのかは知りませんが、とにかく、ダウンロードしたものの中におかしい部分があるんでしょう。調べて自分で書き直しますね」とスナオに反応しましょう。外資に勤めていた頃の私も本社から落ちてきたコードにはそんな反応で粛々と対応していたなぁ・・・。

該当箇所を発見。

SimpleActivatorMenu.cs というファイルがおかしいらしい。これをソースエディタで開いてみる。

いろいろ調べたところ、この”GUIText camSwitchButton”というのが、今どきのUnity君にはよろしうない扱いらしい。

GUITextではなくて、UnityEngine.UIのTextを使って書け、ということになる。

ということは、

1:UnityEngine.UI を追加する。つまり”ushing UnityEngine.UI;”という一行を追加する

2 問題の行の”GUIText”を”Text”に直す。つまり”public Text camSwitchButton;”と書きなおす

この二つの変更だけで、問題は解消するということ。やってみましょう!

これを上書き保存してUnityに戻ったら、ナニゴトもなかったかのように動きましたw。

教訓として。

AssetStoreで広範囲に配布されているフリーのAssetであっても油断はできない。さすがはUnity、どうしようもなく細かいところに爆弾が隠れていたりします。読み込んだAssetでエラーになった時は、落ち着いてエラーメッセージが指定しているファイルを探し出して、手動で怪しいところを直すしかなさそうです。

問題となっているファイルが、使う予定のないアイテムだったら、エラーが出たファイルをそもそもインポート対象から外してAssetを取り込みなおす、というのも有効かもしれません!まぁこれをやる場合、あらかじめAssetの中で、「どのファイルは使うけど、どのファイルは別にいらない」という峻別がつかないといけないわけですが・・・コードをどう直せばいいのか見当もつかない、となった場合の最終手段として、エラーを出しているファイルをそもそも追い出す、というのはオプションとして頭に置いておくのがいいのかもしれません!