【第015夜】電話がかかってくる時

yellow and silver rotary phone
yellow and silver rotary phone
Photo by Markus Spiske on Pexels.com

「オレだけが気づいていて、お前らは誰もわかってないな。この街は実はな、何度も全く同じ一日を繰り返し続けてるんだぜ。オレ以外のヤツは記憶が深夜にリセットされちまうみたいで誰も気づかないがな。ウソじゃねえよ。見てろ。2秒後に猫が一声鳴いて、そのあと電話が2回だけ鳴って切れるから」

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電話機一台だけが写っている写真をお題に出されて、こうきましたか

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SF路線じゃが、『トワイライトゾーン』とか『世にも奇妙な物語』とかを想起させる雰囲気もあるのお

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お?ということは、旦那、この140字怪談は、なかなかお気に入りってことですかい?

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いや別に?やりたいことはわかるが、正直、たいして面白くもないのお。1点じゃ!

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【第014夜】「あれはマネキンじゃなくて、トルソーだよ!」

white dress on mannequin
white dress on mannequin
Photo by Mochammad Algi on Pexels.com

「あの窓際に置いてあるマネキン、こっちを見ている感じで気持ち悪いな」
「お前さ、あれはマネキンじゃなくてトルソーっていうんだよ?頭と手足がついてるのがマネキンで胴体だけのはトルソー。それが違いさ」
「何言ってんの?頭も手足もついてるじゃん?」
「・・・お前、何が見えてるの?」

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おお!よいぞよいぞ!これはなかなか、よいじゃないか!!

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ええー!?ドン・キホーテの旦那が140字怪談を褒めるなんて珍しいですね!なんかむしろ怖いな・・・

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何を言うんじゃ、サンチョ・パンサよ。まあ、この作品をよく見るがよい。この怪談は、「トルソー」という、服飾系の仕事をしている方でもない限りは、普通は知らないコトバを使っておる。だが、それをちゃんと説明しつつ、きっちり、140字内で怪談オチまで持ち込んでいるのじゃ!

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ああ!ほんとだ!ちゃんと言葉の説明をしているのに、140字以内にきちんと収まってる!

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ツイノベというなら、こういう、「よくぞこの文字数の中で、説明まで含めて全部入れたものだ!」と感心させてくれるものを読みたいわな。よし、これは100点満点で・・・60点じゃ!

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ええー!?ドン・キホーテの旦那がそんな高い点数を?珍しい!(次回、一気に酷評に戻るんじゃないかと怖いなぁ・・・)

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【第013夜】ネッチーの棲む湖

water splash
water splash
Photo by Pixabay on Pexels.com

この湖には伝説の怪獣ネッチーが棲んでると聞いたのに何も出ない。水辺で集合写真を撮って帰った。後日写真を見ると僕らの後ろに妙な水柱が…
「あそこに噴水なんてなかったよな?」
「湖の中から何がこんなに水を高く吹き上げてたんだろう?」
「鯨の潮吹きに似てないか?」

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「ネッチー」ってなんすかね・・・w?

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というツッコミを喚起するだけで成立しておる140文字怪談じゃな

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「出落ち」みたいなもんですね。「ネッチーっていったいなんだよ!」という読者の心の声が響き渡る感じの

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まぁ、おもいきってギャグに振り切った感じなのは、いさぎよくて、悪くないかもしれん

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お!ということは旦那、これには少しは良い採点を出しますかい?

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そうじゃな。それでは100点満点で・・・2点じゃ!

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【第012夜】歩道橋の向こう側のビルに見える人影は

high rise buildings during nighttime
high rise buildings during nighttime
Photo by Irina Iriser on Pexels.com

A「向こうに見えるビルの窓、こんな時間なのに明かりがついているんですね」
B「人影も見えますか?」
A「はい、いくつか」
B「それなら、あなたはこの歩道橋を渡らないほうがいいですよ。あのビルの人影が見えちゃっているならね、、、」

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これはつまり、「向こう側のビル」の窓に見える人影は、普通の人には見えないものだ、と

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うむ

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それが見えてしまっている人は、霊感が強いので、歩道橋を渡って「向こう側のビル」に近づくと不吉なことが起きるぞ。そう警告されている、という怪談ですね!

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うむ。それで?サンチョ・パンサよ。それを理解するのにどれくらいかかった

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めちゃくちゃ読み直して、考えて、やっとわかりやした

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そうじゃろ?というわけで、こんなものは1点じゃ!

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【第011夜】立ち入り禁止の警告の向こうに

road closed signage
road closed signage
Photo by Travis Saylor on Pexels.com

私「すいません、立入禁止ってありますけど、この先には何があるんですか?」
警備員「あなたたちはもうここを通っちゃダメなんです。現世への道なのですから」
私「???・・・あ!そーゆーこと?!そうか、オレ、死んだのか、、、」

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ん?これはどういうことでしょう?

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つまりじゃな、サンチョ・パンサよ。「立ち入り禁止」とあるのは、この世へ戻るための通り道。つまり、この会話がなされているのは、あの世、ということじゃな

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あー。つまり、またしても「実は語り手は既に死んでいた」パターンですか

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そのうえ、なんか、よく考えないとわかりにくいじゃろ?

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わかりにくいですね

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というわけで、1点じゃ!

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【第010夜】バンジージャンプの幽霊を描写しているっぽいが何が何だかわからない

grayscale photography of scafoldings
grayscale photography of scafoldings
Photo by Pixabay on Pexels.com

Α「このあいだ、あの鉄骨からハイテンションな若い人がバンジージャンプをしてたの。あれはテレビの撮影だったのかな?これがその時、下から撮った写真」
Β「え?バンジーしてる人なんて写ってないじゃん?」
C「そういやここ半年前に迷惑YouTuberが鉄骨に登って自撮り中に落下死したとこだな」

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だめだめだめだめ!これはだめじゃ!

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おっと、どうなさいやした?ドン・キホーテの旦那?

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これはまったくだめじゃよ!なぜだかわかるか、サンチョ・パンサよ?

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んー・・・誰が誰だか、なんだかよく情景が浮かびませんね

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そうなのじゃ、サンチョ・パンサよ。この140字小説はA・B・Cという三人のキャラクターによる会話になっておる。だが挿絵も何もなく、かつ、140字という制約の中で、三人分の会話だけで背景を理解させるなど、超高度な難易度のはずじゃ!しかしそのことに自覚がなく、野放図にA・B・Cという記号だけですべてを完結させようとしている。読者に負担を強いるという意味で、これは無理じゃ!もっと単純化した設定にするか・・・そうじゃな、A・B・Cではなくて、せめて太郎、次郎、花子という人名にするか、口調にクセをつけるとかで、三人のキャラを立たせれば多少はわかりやすくなったかな?

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たしかに、A・B・Cとやられてたこれを読んだだけでは情景がさっぱり、何も思い浮かびませんね・・・

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というわけで、これに高い採点を入れるわけにはいかんな。100点満点中で・・・1点じゃ!

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【第009夜】お題「モンスター」に対して私が投稿した140字怪談を猛省する回

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Photo by Lisa Fotios on Pexels.com

モンスター?実はうちにも一匹出ますよ。全身が青の毛むくじゃらで「クッキー!クッキー!」とばかり叫んで。まあ確かにクッキーの盗み食いしかしないんですわ。それなら実害がない?でもね、目玉がグルグルいつもあらぬほうを向いてマッドな感じで、いつか何かやらかすんじゃないかと怖くてね

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・・・ええーーっ!

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・・・こ、これは・・・

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アメリカの国民的子供番組をいじっている??ちょっとこれは問題作ですよね、ドン・キホーテの旦那!

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いろいろマズいじゃろう・・・

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Twitterで「お題:モンスター」での投稿の呼びかけに、2021年6月にこれを出したそうですが・・・書いた本人が現在はたいへんに反省をしているそうです

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そうか。悪いことをしたと、わかっておるのじゃな。ならば採点も容赦はすまい。100点満点中で・・・1点じゃ!

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【第008夜】業者に引き取ってほしいボロ椅子のこと

brown wooden chair on green grass
brown wooden chair on green grass
Photo by Mike B on Pexels.com

リサイクル業者「引き取って欲しいのはこの椅子ですか?ボロボロすぎてこりゃ、値をつけられませんな。粗大ゴミにしたほうがよくないですか?」
家の主人「いや捨てちゃうだけじゃダメなんだよ!誰か新しい持ち主がつかないと!タダでもいいから早く新しい持ち主を見つけてくれ!はやくーっ!」

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おお・・・不穏ですね!

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うむ・・・不穏じゃな

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なにかいわくがありそうなのに、正体がわからないですね

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なにかありそうなのに、わからんな

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でもまぁ、普通っつえば、普通ですね

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そう。普通じゃ。100点満点中で・・・1点じゃ!

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【第007夜】帰ってきた「わたし」

gray house with fireplace surrounded by grass under white and gray cloudy sky
gray house with fireplace surrounded by grass under white and gray cloudy sky
Photo by Sebastian Sørensen on Pexels.com

ずいぶんかかっちゃったけど、
やっと彼氏の家が見えてきたわ。
もっと早く会いに来たかったのだけど、
彼の家はずいぶん山奥にあるから。
私が彼に突き落とされた海から
歩きで帰って来たので、何日もかかっちゃった。
それに私の足、あちこちお魚に食いちぎられて、
歩くのも遅くなっちゃってたし。

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これ、ラヴクラフトじゃないですか?

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うむ・・・ラヴクラフトっぽいな

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ラヴクラフトの短編にいかにもありそうな

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あるいは、ラヴクラフトの影響を受けたホラー短編作家やホラーコミックに、同じパターンのハナシがありすぎるほど、ありそうな、というべきか。定石どおりで面白くもおかしくもないのお

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でも、洋物ホラーっぽい領域にも手を出したのは、このシリーズ中では新趣向ってとこですよね?

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そうそう。だから、ちょっとだけ甘めに採点してあげよう。100点満点中で・・・1点!

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【第004夜】2021年6月ふたつめの140文字怪談は「橋に伝わるオハナシ」

light landscape nature forest
light landscape nature forest
Photo by Markus Spiske on Pexels.com

「そういやこの橋には昔話があってさ、
渡っている途中に左足首を欄干から
いきなり掴まれることがあるんだって。
でもなんにもおこりゃしなかったな」
「ハハハ、まったくだな。
・・・あれ?おまえ、ついさっきまで
左の足首にアンクレットしてなかったっけ?

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・・・あれ?どうしやした?ドン・キホーテの旦那。急に黙り込んで

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・・・いや・・・うむ・・・このサイトの企画は「辛口レビュー」なのじゃが・・・そのう・・・

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あ!まさか、ようやくドンキホーテの旦那の好みな怪談が出てきやしたか?

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そうじゃな・・・わりかし、これは好きじゃな

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正当派怪談って感じのオチになっていますね。「あとからぞっとする話」をマジメに狙っている創作怪談になっていますね

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唯一、ケチをつけるとすれば、「アンクレット」という単語、もしかしたら知らない人も多いんじゃないか、という心配かな?でもまぁ、これも検索すればすぐ「ああ、あれね」とわかる単語ではあるし、致命的な欠点ともいえず

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ということは、今回こそ、高得点が出ますかね?

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うーん。今後の点数づけの基準にもなるかもしれんし、たまには「いい例」として高めの点数をあげておこうかな。100点満点で・・・50点で!

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おお。旦那が50点まで出したのは珍しい!!

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