台湾妖怪特集(怪と幽Vol.003)を今こそ読み直す

台湾の怪談・妖怪事情が面白い。最近、台湾発のホラー映画が我々を楽しませてくれていることもあり、ますます目が離せません。

・・・と思っていたらどんどん台湾をめぐる周辺情勢が緊張してきているではないですか。

ゴーゴリのディカーニカ近郷夜話の土地ウクライナはこんなことになっているし。どれだけ妖怪の宝庫を地球から奪おうとしているのだ国際社会。これ以上ひどいことにはならないようにという祈念も込めつつ、

【怪と幽Vol.003】妖怪天国台湾特集を読む。

何を隠そう、私自身が「台湾のサブカルチャーにも妖怪ブーム」があることを、この本のおかげで初めて知った身。そういう人は多かったのではないでしょうか?

そして何をおいても、台湾の妖怪文化、日本人たる私にも、わかりやすいのです。

山をつかさどる「モシナ」なんて、日本の山の妖怪と相性がめちゃくちゃ良さそうだし、

台湾の「赤い服の少女」なんて、花子さんや口裂け女といつでもタッグを組めそうじゃないですか。タッグを組まれたらめちゃくちゃ怖いけど。

https://youtu.be/8q5vILTnCnk
参考動画

これほどに台湾妖怪と日本妖怪に相通じそうなところがあるのは、もともとの相互の伝統に似ているところがあるおかげなのか、それともただ単に日本漫画の影響が台湾に入っていったための、サブカルチャー上の共鳴に過ぎないのか。そこは何とも安易に言えない。

けれども、とにかく、

このような妖怪文化が根づいている地は、なんであれ日本の妖怪ファンにとっては「行ってみたい土地」「仲良くしたい土地」であり、台湾が「国際政治の過酷な現実」なる真のモンスター(妖怪ではなく!)に飲み込まれることがないよう、切に祈念するのでした。

世の中が騒がしすぎて、妖怪ファンの心配の種はどうにもつきない。なんて時代だ、、、。

【怪と幽 Vol.003】妖怪天国台湾


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海外心霊動画を考察する:妖怪が生まれる瞬間をとらえた映像、そして今すぐ子供を抱きしめよう

子供部屋に設置された、おそらくは監視カメラの映像と思われる、こちらの心霊動画をYouTubeで見つけたのですが、なんとまぁこれは、私にとって実に興味深い!

昼寝から目を覚ました三つ子が、壁のほうを指さして恐怖にかられ、家具の後ろに隠れている様子が映っております。

その怖がり方が、なんとも、中途半端なものではない。

さらに映像の後半では、数日後、三つ子のうちの一人がやおらベッドから起き上がり、「壁にモンスターがいる」と別室の母親を起こしにいく様子も写っております。

これに対して、YouTubeのコメント欄に、とても興味深い指摘が載っておりました。

「小さい子のうちの一人が何かを見間違えた時、それが残りの子供にも伝播して、見間違えにも関わらず、同じ部屋にいた他の子供も「同じものを見てしまう」というのは、集団児童心理的には、ありえること」

との旨。

ハイ。大賛成です。私もこの映像はそう考察しています。

物理学的にはその部屋には、やはり、何もいなかったのだとは、思います。

何もいなかったのに、三人の女の子の心理が共鳴し、「同じモノが、見えてしまった」ということかと思います。

物理学的にそこにいない」からといって、「オバケなんていない」と安易には言えない理由も、ここにある。

いかに科学的な機器を持ち込んで、この日、この部屋には、何もいなかったことを科学的に立証しても、この三人の少女の中では「この部屋にモンスターがいて、わたしたちはそれをみんな見たのだ」という物語が残り続けるでしょう。

そしてこういうものに対して「そんなのは見間違いよ、バカバカしいわね、さあもう寝なさい」とピシャリとやってしまうのは、きっといい結果を生まないと思います。

おそらくは・・・

こういうことが昔の世界各地の民俗でも起きて、怪物やら妖怪やらは生まれて継承されてきたのではないか。だとするとこの動画は、妖怪が生まれるその瞬間をとらえた、とても貴重な映像なのかもしれません。

科学的にどう扱おうと、怪物や妖怪は、それを見た人のココロの中で物語として生き続ける。それをどうすればいいのか。物語を物語として人に話し、何らかの意味づけをしていくしかありません。

そしてもちろん、それがいわゆるトラウマ的な傷の物語になってしまわず、いつか大人になるにつれて超克されていく、成長の一通過点として位置づけられる、そんな、怖くとも意味の深い怪物物語になることを望みます。

そしてこの動画については、シンプルに、こう言っておきたい。

この三人の子のお母さん、「怪物を見た」という三人の子の話をよく聞いてあげて、しっかりと抱きしめてあげて、どうか、安心させてあげてくださいませ!

この子たちめちゃくちゃかわいいので、こんなに怖がっているのはかわいそうなのです。お母さまには是非、適切なケアをお願いします!

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【妖怪好きは地方へ行こう!】日本の妖怪スポット10選!

(本記事の英語はこちらから≫)*The English Version of this article


不肖わたくし山神ヤシロ、

怪談・妖怪好きであるならば、地方のイベントへ行こう!地方の文化を盛り上げよう!」と常々申し上げている者でございますが・・・

ハイ、わかっております・・・言っている私自身が、日々の忙しさに追われて、このところなかなか旅行に出られていない・・・これはいかん。

もっと行かねば!もっと地方のご当地スポットのことを知り尽くさねば!

という気持ちが、きっかけとなりまして。

私なりに、このたび調べたこと。

妖怪で町おこしを試みている市区町村で、今後も注目していきたい自治体「10選」をピックアップしてみました!

※もしリストを見て「他にもまだ妖怪町おこししているオオモノがあるぞ」と思いついた方、よろしければ私のTwitterアカウントに御連絡賜れればと存じます。

なお、このリストの順番は、単純に北から順番に配列しただけであってランキングの意図はないことと、「町おこし」がキーワードゆえ、東京都23区・大阪府大阪市・京都府京都市は外していることをご了承ください。


1:【岩手県】遠野市

まずは東北地方の超有名どころから。柳田國男の「遠野物語」で有名なこの土地。座敷童子やマヨイガ等、「遠野」と聞いただけで思い出す名前が多々あり。この土地の名、名!夢が広がります。

遠野市観光協会公式サイト:≫ https://tonojikan.jp/

2:【東京都】調布市

実は「ゲゲゲの鬼太郎」コンテンツがある調布市。東日本に棲む私にとってはとりわけ、調布市という京王線でアクセスしやすいところにこういう土地があることは、まこと、大変な僥倖です。

京王電鉄ゲゲゲ散策マップ:≫ https://www.keio.co.jp/area/gegegemap/chohu.html

3:【滋賀県】東近江市

滋賀県の東近江市の八日市は、「八日市(ようかいち)は妖怪地」を標語に、地域の妖怪「ガオ」をメイン推しで妖怪祭りを行っております。コロナ禍からぜひ不死鳥の如く、いやガオのごとく?、立ち上がってほしい。

東近江市公式サイト:≫ https://www.city.higashiomi.shiga.jp/0000001118.html

4:【京都府】福知山市

京都府の福知山市には鬼伝説をモチーフとした博物館があります。建てられた場所が銅山の跡地というのがこれまたアツい!

日本の鬼の交流博物館:≫ https://www.city.fukuchiyama.lg.jp/onihaku/riyou/index.html

5:【香川県】土庄町

小豆島(しょうどしま)の「迷路のまち」には、日本のみならず世界の「妖怪」にも目くばせを効かせる「妖怪美術館」があります。常々、さまざまな妖怪イベントを企画する積極的な活動が目を引きます。

妖怪美術館:≫ https://yokaimuseum.on-the-trip.com/

6:【兵庫県】福崎町

柳田國男生誕の地として、妖怪をキーワードとした町おこしを行ってきた福崎町。河童の「ガジロウさん」が観光客を迎えてくれます。それにしても、「妖怪をできるだけ現代キャラクターっぽいカワイイ形象」にしたがる昨今にあって、気持ち悪さを間違いなく残そうとしている福崎町の姿勢には完全完璧に好意を抱きます!

福崎町観光協会:≫ http://www.fukusakikankou.jp/

7:【鳥取県】境港市

水木しげるロードおよび水木しげる記念館で有名な鳥取県の境港市。「ゲゲゲの鬼太郎」世界観が好きな方ならば、ここは是非一度、行ってみて損はない街と思っております。

境港観光ガイド:≫ https://www.sakaiminato.net/

8:【島根県】松江市

『怪談』で有名なラフカディオ・ハーンこと小泉八雲の住んでいた町、松江市。伴い、ゴーストツアー(数年前ながら私も参加しました!)等、コワイもの好き、怪談好きな観光客を呼び寄せようとする企画を展開しています。

松江観光協会公式サイト:≫ https://www.kankou-matsue.jp

9:【広島県】三次市

2019年に妖怪博物館をオープンしたという、「妖怪町おこし」の試みとしてはかなり最近のニュースの町であり、今後どう広がるかが注目されるのが、広島県の三次市です。「みよしし」と読みます。なぜここに妖怪博物館が?と言いますと、かの古典『伊能物怪録』の舞台が三次(みよし)だったのですねえ!

みよしもののけミュージアム:≫ https://miyoshi-mononoke.jp

10:【徳島県】三好市

ややこしいですがこちらも読み方は「みよしし」です。子泣き爺発祥の地ということで、道の駅に「妖怪屋敷」があったり、谷に「妖怪ロード」があったり、凄いです。でも、ここが私としても妖怪スポットとしてイチオシなのは、山と谷に囲まれたこの町の景観そのものが、圧倒的にミスティックで、「妖怪が住んでいそうな」雰囲気バリバリなことなのです!

三好市公式観光サイト:≫ https://miyoshi-tourism.jp/

いかがでしたでしょうか?

私個人としてもこれら10個の自治体の活動をフォローしつつ、あの手この手でこうした試みを応援していきたいと思っております。

ビビッときたスポットがあれば、ぜひ、皆様もお出かけくださいませ!

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【怪談好きなら地方へ行け!】徳島県三好市山城町が妖怪天国であること

※本記事は2015年夏の旅行記につき現在は様子が違っているところがあるかもしれない旨、ご了承ください💦

怪談・妖怪を愛する者にとって、概して四国というのは宝の山ですが、徳島県の三好市というところはとりわけヤバい。言ってはなんですが、こんな秘境に、ここまで妖怪を愛している(そしてきっと妖怪からも愛されている)コミュニティがあるとは仰天でした!

ただし行き着くのは都会人にはなかなか難儀。

私の場合は飛行機で徳島空港に降り、まずは当然ながら、徳島市内で徳島ラーメンを食べてから、

90分くらい並んでやっと入れた有名店
おおー!
うっかり餃子も追加オーダーしてしもうた

一晩眠ってからレンタカーで、ひたすら徳島県の山奥へ。どんどん山に登っていき、まるで雲を見下ろすような道路をそうとう駆け抜けて行った先に出てくるのが、

日本が次世代に残すべき妖怪遺産の町、徳島県三好市山城町です!

基地にすべきなのが、「道の駅大歩危」という施設。この中に、妖怪屋敷という資料館があるのですが、地元の方々の手作り感あふれる展示物の数々がほっこりたまらない!良い意味で、B級感が温かく、いつまでも居座ってしまいます!

こちらがその、妖怪屋敷の入口。水木しげる先生が寄せた温かいビデオメッセージが流れておりました。

聞けばこの山城町は、かの「子泣き爺」発祥の土地なのだそうです。他にも、町の随所に、妖怪のオブジェや記念碑が建っており、浮世を忘れさせてくれる妖怪空間なのでした。

繰り返すようですが、特に東京人にとっては、なかなか行きつくのはたいへんな距離。でも、それがいい!

ちなみに、この2015年夏に訪問した私は、

東京に戻る前に、もう二食、徳島ラーメンの有名店をハシゴしてしまい、羽田に帰る飛行機の中では胃腸内でのラーメンの膨張でおなかがパンパンになったのでした。一泊二日の弾丸旅行で3食ラーメンはやりすぎか💦?

でも、また食べに行こう。

※徳島県三好市の妖怪観光スポットについては、以下の「まるごと三好」という観光サイトが詳しいです!妖怪好きな方はぜひチェックを!


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「怖い本」トラウマ読書日記:おばけのはなし1

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寺村輝夫先生の『おばけのはなし』について、先日コチラの記事で「子供の頃の私にとってのトラウマ本」として紹介させていただきました。

その後。

本シリーズ全三巻に収録されている各昔話の出典をなんとか確認したいと思い。あかね書房さんにダメモトで問い合わせてみたのですが、、、!

回答としては、

本シリーズの著者である寺村輝夫先生のみならず、編集担当の方も既に亡くなられているため、本作品についての解答ができる人間は残念ながらいない、との旨でした。

そうですよね、、、古い本だもの。

それにしても、子供の頃の私を楽しませてくれた思い出の本の制作者が鬼籍に入られたと聞くと、ご冥福をお祈りしますという月並みな言葉だけでなく、心からの感謝の念が溢れるのを抑えられません。素晴らしい本を、ありがとうございました!

さて、今回はこのシリーズの第一巻に触れさせてくださいませ。

まず、この表紙です。ステキじゃないですか!?

ひとつめ小僧ですね。しかもこの、ひとつめ小僧、めちゃくちゃカワイイですね。

そしてこの表紙に偽りなく、この第一巻の目玉となるオハナシは、まさに「ひとつめ小僧」のオハナシです!ひとつめ小僧、だけに、「目玉」ですね。あ、いや、なんでもないです。

この第一巻は、他にも「のっぺらぼう」等、有名どころの妖怪話を集めており。私としては最終話の「目のない幽霊」のオチがたまらなく好きです!

そしてそして!

この第一巻の「あとがき」には、ありがたいことに、収録されているオバケバナシの取材先の言及があります!第二巻、第三巻にはなかった点だ。

そしてこれに従うかぎり、『おばけのはなし』シリーズの収録昔話は、

・新潟県

・埼玉県

・福島県

・山口県

あたりから採集しているらしいと判明。

このあたりの都道府県に絞り込んで調べれば、第二巻、第三巻の、出典記載が欠けているオハナシの出所も復元できるかもしれない!?

ヨシ、しつこく、このあたりの調査がんばります!


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感想(8件)

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「怖い本」トラウマ読書日記:おばけのはなし2

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昨日のコチラの記事において、私が子供の頃にトラウマ級の怖さ(褒め言葉です!)を受けた、寺村輝夫先生『おばけのはなし』第三巻のことを取り上げました。

今夜は巻数をひとつ遡り、第二巻のことを語らせてください。

というのも今夕、うちの小学一年生の娘がこの「第二巻」の表紙に興味を持ったので、三話分をピックアップして読み聞かせてやったばかりというタイミングの良さがあるからです。すなわち、この本についての、現代っ子らのリアルな感想を聞いたばかりのところ、というわけでして!

↓↓↓

その感想は・・・「これ、あんまり怖くないね」とのことでした。

いやいや慌てないでください!この感想、実は、多少は織り込み済みのことなのです。

ポケモンやらマインクラフトやらに囲まれて毎日生きている六歳の子供が、ムカシバナシの活字を読んで、いきなり「おもしろい」「怖い」「すごい」などというわけもない!

現代っ子を相手に「読書好き」に染め上げるのは、時間がかかるはずなのだ。ここからがスタートです!

それに、今日については、私が娘の様子を見て、

読み聞かせの際に、敢えて怖い話をスキップし、キツネやタヌキが化かしに出てくる比較的穏やかなストーリーのものをピックアップしてしまったせいもある。これは父親としての、コンテンツ提供時の戦略ミス。子供相手だからと、情けをかけてしまった。

ほほう?怖くないだと?そうか、キツネやタヌキが脅かしに出てくる程度では刺激が足りないか。よいだろう!この「おばけのはなし」第二巻の本気を教えてやろう!

では、明日は、この第二巻に収録されている中でも、もっと「妖怪」系のエグいハナシ、

『目玉三つに歯が二つ』

『足が目だらけ』

『しゃみせん山』

三本セットを読み聞かせてあげよう!この三つは、相手がガチな妖怪変化なので、いっきに怖くなってきますよー!

それにしても。

自分でも一つの気づき。

オチが「実はキツネのシワザでした」「実はタヌキのシワザでした」って、読み手を安心させる効果があるのに対し、

「最後まで怪異の正体はおろか、意図も不明でした」という、読者おきざりパターンのハナシのほうが、現代にも通じる怖さを蔵しているのでは?

さてはて、キツネやタヌキの怪談如きでは「つまらない」と言った娘を、今度こそ、「怖い!でも、面白い!」と言わせ、オバケバナシ好きに目覚めさせることができるのか?私のチャレンジは続きます!

※なお追記としてめちゃくちゃどうでもいい指摘ですが・・・この表紙、

↓↓↓

第一巻は一つ目小僧、第三巻は三つ目入道とわかるのですが、第二巻の表紙の、この二つ目のオバケの名前はなんなのでしょうね?ピンク色でなんかポップで、忘れがたいインパクトのオバケさんなのでした。かわいい


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