【第053夜】ダンボール箱を被った男

cardboard box on dark wooden table near tape and scissors
cardboard box on dark wooden table near tape and scissors
Photo by Karolina Grabowska on Pexels.com

「先生、家庭訪問お疲れ様です!紹介しますね。うちの主人です」
母親はそう言って、頭からダンボール箱を被って黙って突っ立っている男を指差した。
「は、はじめまして」
「・・・」
「すいませんね。主人はとても無口でして。私もまだ一度も声を聴いたことがないんですよ。オホホ」

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なにこれ怖いw

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シュールな情景のナンセンス短編ってとこだが、不穏なインパクトを感じるのう

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このブログ管理人自身、これは気に入った設定のようで、このあと、この着想を膨らませて短編小説化してエブリスタに載せたみたいですよ

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https://estar.jp/novels/25871383

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しかし、この設定、ひとつ問題があるな。昔懐かしい家庭訪問なんて、今、やっている学校、あるのかな?

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あー、そうですね。家庭訪問っていうシチュエーション自体がもはや今の世代では成り立たないかも、ですね。となると、採点はやはり、厳しくなります?

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うん、厳しくいこう。1点

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【第052夜】深夜のエレベーターガール

close up shot of a hand pressing an elevator button
close up shot of a hand pressing an elevator button
Photo by cottonbro studio on Pexels.com

「板橋○○団地のエレベーター。午前二時に1階で乗って、4-2-6-2-10-5階の順で移動すると、5階に着いた時にエレベーターガールが乗ってきてそのまま異次元へ『ご案内』されるという噂。そんなワケあるかい!と思いつつ、ちょっと今から試してみるわ」←※これを最後にこの人のツイートは途絶えた

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お。なんかこれに似たハナシ、都市伝説にありましたねー?

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「異世界へ行く方法」ってやつだろ?これじゃな↓

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https://www.tv-tokyo.co.jp/plus/smp/entertainment/entry/2021/025093_amp.html

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これですね!この都市伝説を「深夜のエレベーターガール」というお題に合わせてアレンジしたんですね?

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そうなんじゃが・・・でも、あまりにも都市伝説そのままを140字内に収めた感じで、特にヒネリもない、と言えないか?

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あー、たしかに。もとの都市伝説を知ってれば誰でも持ち込むオチですしね・・・

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1点

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【第051夜】スーツケースからの音

suitcases placed on edge of bed
suitcases placed on edge of bed
Photo by Ketut Subiyanto on Pexels.com

友達が海外旅行に出る前日、一人暮しの僕のところに来て、
「これ、大事なものが入ってるので帰国まで預かっててくれない?」「随分と大きいスーツケースだね。OK、預かっておくよ」「ありがとう!ちなみに夜になると中から爪で引っ掻くみたいな音がするけど無視しておけば大丈夫だから!」え?

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おや?今回はなかなか良いんじゃないか?

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このところSF調になったり、キャラものになったりしていたので、ひさびさの正統派怪談は、やはり、落ち着きますねー

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Jホラーなテイストと解釈もできる、まことに、正攻法で来ておるな。ふむ。いいんじゃないかな?

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おおー、となると、今回はひさびさに、高得点、出ますかね?

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そうじゃな。このところ「1点」ばかり連続していたからな。たまには良い点をくれてやろうかの

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それでは、この創作怪談は、100点満点で何点でしょう?

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2点

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【第050夜】土管から出てきたモノ

steel pipe against rocky mountain
steel pipe against rocky mountain
Photo by Matheus Bertelli on Pexels.com

「なんだ!土管の向こうから人間らしきものがこっちに向かってきてる!」
「バカな!こんな狭い土管を通れる人間がいるわけない!」
「出てきた!」
狭い土管から、Mマークが入った赤帽をかぶり、片手にキノコを持った、ヒゲのイタリア人のおっさんが「ピコーン」とジャンプで飛び出してきた!

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あー!また始まった!キャラクター的にきわどいやつだ!

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ん?何の話じゃ?土管からブキミなヒゲのオッサンが出てくるという、怖い怪談ではないか?

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あ、それは・・・いや、そうですね・・・うん、これはどこのブランドのキャラクターとも関係ない、創作怪談ですね!

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そうじゃろ?何を不安なことを言うんじゃ

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となると、これは土管をネタにした、摩訶不思議なオハナシということになりますね。そういうこととして、では、この怪談は、100点満点で何点でしょう?

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1点

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【第049夜】すり抜けの得意なやつら

Photo by Jeffrey Czum on Pexels.com

「社長、あのステッカーは逆効果ですよ。あれをつけて以来、バイクに乗った若造の集団がワザとすりぬけて煽ってくるようになっちゃって」
「そんなふざけた奴らはドラレコを証拠に警察に突き出してやれ!」
「ところが不思議なことにその集団、ドラレコに映らないんスよ」

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バスの「すりぬけ危険」のステッカーの脇に、すりぬけの得意そうなバイカーが突っ込んでくるってわけですね

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この世のモノじゃないバイカーってことだろうな。不死の連中なら、放っておいてもいいんじゃないか?

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よしんばバスに接触しちゃってても、すりぬけちゃいそうですしね

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事故防止の意味でつけた「すりぬけ危険」のステッカーの意味が、いつしか、「すりぬけてくる奴らが寄ってくるバスなので危険」の意味に

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と、まぁ、言葉遊びとしてなかなか面白い創作怪談だったんじゃないでしょうか!?さてドン・キホーテの旦那、こちらは、100点満点で採点すると、いくつでしょうかね?

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そうじゃな・・・1点くらいかな

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【第048夜】ブルターニュの塔

lighthouse
lighthouse
Photo by Jeffrey Czum on Pexels.com

20年ぶりに訪れたフランスのブルターニュ。
前に印象深かった古い塔に入ろうとしたら橋も階段も取り外されていて近づけない。
「あれ?この塔、昔は自由に入れる観光地じゃなかったでした?」と地元の人に聞くと皆「あ、あそこは・・」と顔を曇らせる。
さては何かケルト系の怪異が出たな⁉︎

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ええ?!なんすかこれは?どーいうこと?

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これ、よほどな民俗学好きでないとわからないよな・・・フランスのブルターニュ地方というのが、実は知る人ぞ知る、実話幽霊物語の宝庫なんじゃよ

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へえ?フランスって合理主義な国って印象ですがね?

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ところが、ブルターニュはフランスの中でもやや異色でな。ケルト文化の影響が残ってるんじゃよ。どこか日本にある実話怪談とよく似た心霊体験の話なんか、ブルターニュからは続々出てくる。このあたりの話は、たとえばコチラの本などを読むと面白いぞ。

↓↓↓

『ブルターニュ死の伝承』

あと、がっつりした研究書ではなくサラリと読みやすいブルターニュ怪談物語なら、以下がオススメじゃな

↓↓↓

『フランスの12の怖い昔話』

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「ブルターニュ怪談」なんてジャンルがあるとは知りませんでした!でもそうすると、今回の創作怪談、「ブルターニュ怪談」と「ケルト系」という二つのニッチな話題について知っていないとさっぱり意味不明な怪談ということで、これはいくらなんでも不親切じゃないでしょうか??

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その通り。前知識がないとそもそも何が何だかわからない話ということで、これはイラッとくる140字怪談じゃ!採点は厳しくするぞ!1点じゃ!

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【第047夜】グロテスクなケーキ

close up of a cake
close up of a cake
Photo by Skyler Ewing on Pexels.com

助手「これがUFO墜落現場で発見された生命体です」
博士「ケーキにそっくりだ」
助手「これをケーキ屋に紛れ込ませることで地球侵略しようという作戦では?」
博士「素材も地球のケーキと同じに見える。食べたらうまいかな」
助手「食べてみますね。。。うわ噛みつかれたー!」
博士「助手ー!」

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ちょっと・・・三回連続でSFホラー路線になっちゃいましたね!よほどSFホラー路線が板についちゃったんでしょうか?w

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いちおう補足説明しておくと、これはTwitterにあった「グロスイーツ」というお題に対する投稿作品だとか。でもま、ともかく、たしかに、SFホラー路線じゃな

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しかも古き良き1950年代ハリウッド SF的な、どこか牧歌的なノリがありますねえ

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いわゆる「B級ホラー映画」路線ともいえる

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たしかに、「アタックオブザキラートマト」なんて映画も世の中には実際にあるくらいですからね。ケーキに擬態する宇宙生物なんてのも、B級な世界なら、ありかもしれんですね

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だけど、、、これ「怪談」ではないよな?パロディ感覚を否定はせんが、ふざけすぎでイラッとくるわい。採点は、1点じゃ!

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【第046夜】ひまわり参上

bed of sunflower
bed of sunflower
Photo by Designecologist on Pexels.com

「季節とはいえ随分と陰気なヒマワリだな」そう呟きながら通り過ぎる。十歩ほど進んで振り返ると、さっきのヒマワリが真後ろにいた。もう十歩ほど進んで振り返ると、またしてもスグ後ろにいる。「だるまさんがころんだ」のように、迫って来ている⁉︎さては地球のヒマワリではないな!

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おっと!前回に引き続きSFホラー路線だ!

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なんじゃ?すっかりSFホラー系で創作怪談することに味をしめたのかな?

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この作者SF系が好きなのですね

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わしも、存外、その路線の140字怪談、嫌いじゃないかもな、、、

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おお!ドン・キホーテの旦那も、この路線、お気に入りですかい?では、採点をおねがいしやす!今回のこの創作怪談は、100点満点でいうと、何点でしょう?

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1点

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【第045夜】宇宙からきた、的な

gray concrete building
gray concrete building
Photo by cottonbro studio on Pexels.com

俺の人生を散々ぶち壊したあげく別れ話にも乗ってこなかった女をつい殺してしまった。死体の隠し場所に困り、一旦、納屋へ入れておく。翌日、変な音がすると思って納屋を覗いたら死体から生きているあの女が再生して分裂中だった!地球の女じゃなかったのか!瞬間、オレはいろんなことを諦めた。

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ななな、なんとこれは!SFホラー路線にきましたか!?

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1950〜1960年代な「地球侵略」ホラーの路線を狙ったかな?なかなか、野心的じゃないか

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人間に擬態する宇宙生物?その設定だけで、懐かしい感じがしてドキドキしますね!

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しかし惜しむらくは、この文字数ではいまいち「よくわからん」ところかな

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まあそうですね。140文字の制約の中で、SFホラーを表現するというのは、かなり困難なのかも、ですね

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しかしまあ、この野心的な試みは、今後もやってほしい、という期待はしちゃうな。未来への期待を込めつつも、今回の採点は厳しく、1点じゃ!

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【第044夜】こんなこと、ありえる?

a mermaid s tail underwater
a mermaid s tail underwater
Photo by Kindel Media on Pexels.com

こんなこと、あり得る?嵐の夜に船から落ちたら、海中にいた不思議な女の子に命を助けられ、しかも恋をされたようなんだ。
その後もずっと黙ってついてくる。でも見た目が人魚姫というよりは、ニタニタ笑いを浮かべる半魚人ってとこなんだ。。つきあうべきかな?
こんなこと、ありえる?

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おおっと!これはマズいんじゃないですかね?!

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ん?マズいというと?

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天下のディ○ニーさんのパロディじゃないですか?!

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そんなことは明記されておらんぞ?人魚かと思ったら半魚人的な奴だったっていう創作怪談じゃないか。どこにディ○ニー映画の要素があるというんじゃ?

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だって「ありえる」って・・・

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(さえぎって)まあ、この創作怪談は、なかなか冒険心もあっていいんじゃないか?採点は、久々の高得点、60点じゃ!

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