不定詞の慣用表現”only to“は、「(~したが)結局・・・だった」と訳され、文法的には「逆説的結果」などと呼ばれます。
・・・が、そんな細かいことはココではズバッと割愛しまして。最小限のおさらいだけで怪談ホラーでの実用例に向かいましょう!
≪というわけで、最小限のおさらい≫
・To不定詞の副詞用法には、もともと「結果を示す用法」がある。
・それは動詞を修飾して、「結果が●●になるように、○○をした」といった意味合いになる
・そのto不定詞の前に”only”がついたわけだから、「ただ●●という結果を得るために○○をした」ということ。
つまり、「残念な結果に終わった」というガッカリ感が出ることが大事です。
「オレは自分がこの仕事に向いていないと発見するために今日まで働いてきた」とか、「私は彼が冷たい人だと気づくまで三年も付き合ってきた」とか。
文章は肯定文だけどネガティブパワーがメラメラしているのがonly toのココロです。
それでは、怪談・ホラーの実例で説明しますね。
実例
It was not long before the telephone rang. Linda answered the telephone, only to hear the heavy breathing of the caller on the other end.(まもなく電話が鳴り始めた。リンダは受話器をとったが、電話の向こうからは、重い息づかいが聞こえてくるだけだった)《※引用元:The Vanishing Hitchhiker: American Urban Legends and Their Meanings / Jan Harold Brunvand》
「ルームメイトの死」というアメリカの有名な都市伝説の中から。only toは何にかかっているのか?主節のanswerにかかっているんです。直訳すると、「電話にanswerしたことは、ただ重い息づかいを聞くだけの結果に終わった」、つまり、「電話を取ったが(普通は相手からコトバガあるはずなのに)息づかいだけだった」というわけです。さっそく不穏な雰囲気バリバリですね!いいですねー!
In the end, many people burned to death, and those who survived were trapped inside the airtight space of the tunnel only to die from smoke inhalation.(ついにはたくさんの作業員が焼け死に、焼死を免れた者もトンネルという閉ざされた空間の中で行き場を失い、煙による呼吸困難で死んだ)《※引用元:Kowabana: ‘True’ Japanese scary stories from around the internet: Volume One / Tara A. Devlin》
怪異が出るトンネルの由来を説明する文章です。焼死から免れたものの閉じ込められ、その結果は、ただ残念な結果(=only to)、煙に巻かれて亡くなった、というわけです。怖い怖い怖い!いいですねー!
the ghosts faded away, only to appear again in a more hideous shape than before,(幽霊は姿を消したものの、より恐ろしい姿となってまた現れた)《※引用元:Tales of Old Japan:Folklore, Fairy Tales and Ghost Stories-Classic Original Edition / A.B.Mitford》
「明治日本の怪談を映画館に紹介したのは小泉八雲だけじゃない!オレもいるぜ!」と言ったといわれている・・・というのは私の妄想の中でのハナシですが、とにかく日本怪談を愛した英国人アルジャーノン・ミッドフォードの英語より。消えた(faded away)したのは、ただまた現れるつもりでのことだった、つまりすぐまた現れた(appear)のですね。幽霊ご本人がどう思っているのかはともかく、人間側を主観にした時、たしかにこれもまた、「残念な結果」ではあります!
以上、only toの霊文を・・・いえ失礼、例文を集めてみました。ぜひ、参考にしてくださいませ!
本記事の参考文献
The Vanishing Hitchhiker: American Urban Legends and Their Meanings【電子書籍】[ Jan Harold Brunvand ] 価格:1,811円 |
価格:1,997円 |