「〜のような」という表現のlikeが問題になるのは、受験英語的に言えば以下のようなケースのとき。
以下の( )に入る適切な語句を選びなさい。
( ) other vampires, he also hated sunlight.(他の吸血鬼たちと同じように彼もまた日光を嫌っていた)
(1) As (2) Like
「こんなホラーな例文は受験英語には出てこねーよ!」というツッコミは甘んじて受けておきまして、この問題の解答が「(2)Like」でしかあり得ないのはなぜか、わかりますでしょうか?
同じく「~のような」と訳されるasとlikeですが、実はasは接続詞であり、likeは前置詞である、という違いがあります(厳密にいうとlikeは「前置詞的用法の形容詞」ですが、最近はすっかり「前置詞である」と説明している文法書もあるようなので、あまりここではこだわらず)。
・・・したがって、後ろにS+V…の節が続くときはAs、名詞句が続くときはLikeということになります。
口語表現まで含めていうと、上記のようにスッパリ割り切れないところもあるのですが、受験英語的な世界ではこの区分で乗り切れる筈。
などという、退屈な文法ウンチクはこれくらいにして、
怪談ホラーの世界ではどのような実用例があるのかを見ていきましょう!
実例
The ghosts of Wales, like the people of Wales and the scenery of Wales, are varied and different and utterly delightful.(ウェールズの幽霊というものは、ウェールズのひとびとや景観と同じように、多種多様で違いに満ちていて、とても面白いものです)《※引用元: Haunted Wales / Peter Underwood》
とてもわかりやすい例文を見つけました。ここでは"The ghosts of Wales"は名詞句"the people of Wales"のようだ、そして名詞句"the scenery of Wales"のようだ、と言っているわけです。
イギリスを構成する王国のひとつウェールズについて、そこに出てくる幽霊たちは、かように楽しいものなのだ、と世界の人々に呼びかけているわけですね・・・って、このような文をウェールズの作家さんが力強く発信しているという事実のほうにめちゃくちゃ興味が湧いてきましたぞ!なに?ウェールズって、そんなに幽霊バナシや観光スポットに溢れているの?
うおお、行ってみたい!
It was said that the same field was haunted by a huge, black hound, or gwyllgi, with eyes like coals of fire.(同地は大きな黒い犬の姿をしたモノ、あるいはgwyllgiに憑りつかれていると言われており、それは燃える石炭のような目を持っていた)《※引用元: Haunted Wales: A Guide To Welsh Ghostlore / Richard Holland》
こちらはもっとわかりやすい。Eyesのあとにlike + coalsがついて、「石炭のような目」です。どんな石炭?"coals of fire"、というわけです。
ちなみに、ここに出てくるgwyllgiというコトバがなんとも厄介なものでして。辞書的に言えばウェールズ語でいう「くらやみの犬」みたいな意味なのですが、これ自体が、日本でいう妖怪や変化の類のような、モンスター名になっているとのことです。日本の妖怪のように("like Japanese Yokai"!?)、「それは具体的にどんな姿なのですか?」と外国人が聞くだけ野暮なものかもしれません。
本日の参考書にした文献を観るだけでも、bwganとかbwbachとかEllyllとか、ウェールズの昔話・伝承の世界にはこういった謎めいた妖怪変化の名前がたくさん伝わっているらしい。日本の妖怪文化にも通じるものでしょうか?だとするとますます興味津々な!
かように見れば見るほど、英語圏文化(ウェールズを「英語圏」と括ってしまうことも細かい問題はありつつ)の、妖怪変化の多種多様さにも心惹かれてしまいます。つきつめすぎるとまさに沼地にハマりこみそうな世界ですが・・・!
▼本記事の参考文献▼
Haunted Wales【電子書籍】[ Peter Underwood ] 価格:1,388円 |