『放送禁止4:恐怖の隣人トラブル』と「おわかりいただけただろうかではもう一度」感覚【フェイクドキュメンタリー幻視行】

back yard of a modern detached house

「昨今、はやりの、フェイクドキュメンタリーなるものについて、考えたきことがこれ多々あり、古今の名作をあれもこれもと鑑賞してみれば、深まる秋の夜はどこか恐ろし」

・・・などということをふと思いついて以来、フェイクドキュメンタリーの沼地をさまよっている私ですが、

長江俊和監督の『放送禁止』シリーズというものをマラソン視聴で全エピソードを見たのですけれども、その、全部見たところの心境でもって、

各エピソード個別のレビューを始めております。そして、今回は放送禁止第4回のお話です。


放送禁止 4 恐怖の隣人トラブル [レンタル落ち]

第1回が心霊スポット、

第2回が大家族、

第3回がストーカーときまして、

第4回は隣人トラブルを取り上げていますね。

なるほど、隣人からの騒音や嫌がらせ問題と言えば、もともとがテレビのワイドショーとかでよくネタになりやすい話ですものね。

隣の方とトラブルになったら、いろいろ嫌がらせを受けるようになりました、そんなお宅にテレビ取材班が入って、「監視カメラを置いて隣人の嫌がらせの瞬間をとらえ証拠を掴みましょう」ましょうと。

そういうドキュメンタリーってワイドショーの中のヒトコマで実際ありますよね。 で、『放送禁止4』はまさにその「困った隣人に苦しめられているご家庭にテレビカメラが入りました」系のドキュメンタリー映像、、、を模したフェイクドキュメンタリーというわけでして、

しかも、放送禁止シリーズも、シリーズをずっとみてきた視聴者の側(つまり私w)も第4回となると身構えていまして、

絶対隣人トラブルというのは見かけの問題であって、この裏に何か別のことが進行していて、それがラストにドンデン返しで現れるんだろーな、と最初から疑っちゃう。で、まあ、今回も結論はそういう方向へ行くわけですが。

以前の記事で出した以下の画像の「放送禁止シリーズの構造」は今回も健在というわけですね↓

まあ今回はできるだけネタバレなしで行こうと思うので曖昧な言い方に留めておきますけど、

このお隣さんから来ている嫌がらせの数々、やはり「ただの嫌がらせ」ではなくて別の目的がありましてね。 それがラストで明らかになるわけなんですけれども、この第4回に関しては、子供の言動がなかなかのキーポイントでしてね。

隣家から嫌がらせを受けているお宅に、昆虫が好きで、虫をいっぱい虫かごに入れて遊んでいる男の子がいるんですけど、 この男の子の何気ない行動が、実は「裏で進んでいた真の問題」を、邪魔していたんですね。この子自身は意図してないけど。結末を知ってしまうと、どうして隣人トラブルはあんなに執拗に長期間しかもどんどんエスカレートしていたのか、の理由のひとつが、「あー、あのシーンであの子が無邪気にあんなことをしたせいで話がややこしくなり、事件も長期化したのかな」と思いましたね。

おっと、これ以上は、もう言わないようにしましょう!

ともかく、

無邪気な子供の行動こそ恐るべし。

ですかね。


放送禁止 4 恐怖の隣人トラブル [レンタル落ち]

↑それにしても、いつものことながら『放送禁止』シリーズの油断のならなさは、ジャケット写真に、もう大事な伏線が張られちゃってることですよねw

それも、ちゃんと最後まで見終えた人だけが「あ、そういうことね」と気づく、うまいジャケット写真ですね。

というのもですね、このジャケット写真は、本番の最後に出てくる、ある重要なシーンの映像とリンクしている写真だからですね。

はい、窓です、窓。ラストのほうの、さりげない路地での撮影映像で、カメラが一瞬だけ、家の2階部分に向いた時に映ってる、アレですね!いや、これ以上は言わないぞ!気になる人は、本編を見てください!


放送禁止 4 恐怖の隣人トラブル [レンタル落ち]

そして私自身、なるほど、放送禁止第4回をみていて、いちばんギョッとしたシーンも、そこでした。

「え?いま、カメラが家の二回の方にむいたときに、何か、写ってなかった??」

とギョッとしたところで、

もう一度、同じ映像が再生されて、強調されますよね。「ほら、カメラがこの構図を向いたら、あるモノが写ってるでしょ?気がついた?ニヤニヤ」というクリエイター側の心の声が聞こえてきそうですよね。そしてその映像がこの『放送禁止4』のすべてのドンデン返しですよね。某心霊映像シリーズでいうところの、

おわかりいただけただろうか、ではもう一度

のココロというわけですね。

そして私自身も、まさしく、「映像に映っちゃっているモノ」だけで起承転結の『転結』すべてをドンと表現してしまう「おわかりいただけただろうか」パターンを何よりも愛好するところがあるので、

この『放送禁止4』への満足度はなかなかに高かったのでした!


放送禁止 4 恐怖の隣人トラブル [レンタル落ち]

『放送禁止3:ストーカー地獄編』は「裏の裏の、そのまた裏」くらいまで思わず深読みしてしまう沼地だった【フェイクドキュメンタリー幻視行】

brown wooden door
brown wooden door
Photo by Alfin Auzikri on Pexels.com

「昨今、はやりの、フェイクドキュメンタリーなるものについて、考えたきことがこれ多々あり、古今の名作をあれもこれもと鑑賞してみれば、深まる秋の夜はどこか恐ろし」

・・・などということをふと思いついて以来、フェイクドキュメンタリーの沼地をさまよっている私ですが、

今回は長江俊和監督の『放送禁止』シリーズの第三作を紹介させてくださいませ。


放送禁止 3 ストーカー地獄篇 [レンタル落ち]

今回は「放送禁止3:ストーカー地獄編」の感想記事となります

実は、既に『放送禁止』シリーズの全作品をコンプリート視聴してしまった私、

必然、第三作の評価も、シリーズ全体の中での位置づけ、という感想から始めたいと思います。

ヒトコトで申し上げれば、その特徴は、

シリーズの基本スタイルが確立された作品となりましょうか

すなわち、この第三作を境目に、この後の放送禁止は、

一種の叙述トリック

すなわち、

善人だと思っていた筈の人物が、実は悪人であり、

悪人だと思っていた筈の人物が、実は被害者だった、

というのような、「見かけの映像での役割の裏に、正反対の真実がある」ことを最後に突き付けてくるスタイルとなります。

そしてそれがしばしば、「カメラで撮影している人物が、実は・・・」という、撮影者自身の肩書にすらどんでん返しを加えてくるので、ますます「放送禁止」シリーズは「叙述トリックだらけで油断できない」コンテンツとなっていくのでした。

その方針ゆえ、物語も、

これまでは導入されていたオカルト要素が完全に放棄され、

犯罪やらカルト宗教やらが登場する、「ヒトコワ」を基調にしていくこととなります。


放送禁止 3 ストーカー地獄篇 [レンタル落ち]

【ネタバレあり!】「放送禁止3」のドンデン返しを考察する

しかし本作について考えるにあたり、最後のドンデン返しに触れないわけにはいかないですね。

そこで、以下、ラストのネタバレをしちゃいます。

ネタバレが嫌な方は、ここで離脱してくださいね。

それでは、ネタバレ5秒前!

4

3

2

1

、、、

では、語ってしまいましょう!

この「3」のポイントは、

ストーカーの被害者と思われていた女性は、実は加害者(というか、過去に殺人をして恋人を殺している)で、

ストーカーの加害者と思われていた男性は、おそらく、この女性への復讐のために雇われた人物

というドンデン返しなのですが、

「そんな複雑な復讐劇を仕組んだのは誰だ?」ということへの答えが、

どうやら、黒幕は、この取材を行っていた筒井令子というジャーナリスト本人だった

ということになります。

この唐突な展開を許容できるかできないかで、「3」への評価は変わってきちゃいますね。

まとめますと、以前に提示した以下の図で説明すれば、

「ストーカーに悩まされている一人暮らしの女性を取材にきたジャーナリストの撮影映像」という見かけの物語の裏に、

「取材のフリをして復讐に来たジャーナリスト(というか、ジャーナリストの肩書を利用して、復讐のターゲットにまんまと接近成功した復讐鬼の女)」の物語が出現する、というわけでした。


放送禁止 3 ストーカー地獄篇 [レンタル落ち]

未解決の謎が残っている

しかし、いささか気になることもあります。

いくつか、私なりの考察を述べておきましょう。

・ストーカーが送り付けてきた写真の裏にあった「思い出してください!!」とかいった一連の落書きは、誰が書いたの?

私の考察では、筒井令子が自分で書いていた・・・となります。いやそもそも、初見の時から、「ストーカーの男は、なんだかまるっこいカワイイ文字を書くヤツなんだな・・・喋り方は『このやろー』とか『でてこいよ!』とか乱暴なのに?」と違和感がありました。まぁ、筒井令子が自分で書いたとしても、「思い出してください!!」みたいな、最後に「!!」マークをつけるオチャメさがなんか起きている事態にそぐわないんですけどね。。。

・筒井令子のプロフィールに「埼玉県で起きた殺人事件を取材」とあるのは?

これはちょっと意味深だが、けっきょくナゾ。Aさんの事件のことを調べていたのかと思ったが、Aさんは地下鉄の駅で自殺した、が公式な見解になっているので、「埼玉県の殺人事件」というのとは合わない。同「放送禁止」シリーズの他作品で起きた事件を示していたらめっちゃ面白いと思ったのですが、他の作品で起きた事件も、けっきょくは「真犯人は不明のまま」パターンで終わるものばかりだからなぁ。。。そう考えると、『放送禁止』シリーズの他作品とは特に関係がない、特に深い意味もないところだったのかもしれない。油断できないけど。

・死んだAさんの家族は、筒井令子のことも知っていたし、殺人犯が希美であることも知っていた?

知っていた筈。そうでないとすると、男の子が「新幹線がお父さんを殺した」と思い込んでいる理由がわからない。男の子は「希美がAさんを殺した」という話を「新完全ののぞみが殺した」と聞き違えて覚えているのでしょう。となると、Aさんの奥さんと、筒井令子は希美が殺人犯だと断定する話を以前からしていたことになる。ちなみに、Aさんの奥さんと筒井令子に面識があるのは、ラストで映る家族写真を見れば明白。しかしそうだとすると、筒井令子がAさんの家を訪問したときのやりとりはすべて演技だったことになり、いくらなんてもシラジラしさがあるが・・・

・ラストに筒井令子がストーカー男の手を取って走って行くシーンが挿入されるがあの意味は?

私にもさっぱりわかりませんw。本作、最大の謎となっているのではないでしょうか?

ただし、あえて「ありそうな」ことを考えると、

筒井令子のやっていたこと(人を雇ってストーカーのふりをさせて一人の女性を精神的に追い詰める)もまた、復讐のためとはいえ犯罪なので、筒井令子は最初から、カメラが回っている前で希美に犯罪の告白をさせ復讐の成就を確認したあと、世間から行方をくらます気だった。あのストーカー男は、実は筒井令子の恋人か何かで、「復習が成功したら一緒にどこかへ逃げよう」と約束していたのかもしれない。そう考えると、エンドクレジットでずっとパトカーのサイレンの音が鳴っている理由もわかりますね。

というわけで・・・

結論を言ってしまうと、ドンデン返しの効果はあったものの、

「もしそうだとすると、あのシーンは?あれ、あのシーンは?」と、

いささか、矛盾するような登場人物の言動が気になってしまう点が、本作には残り、ちょっとモヤモヤする。

ただし、『放送禁止』シリーズは、真実が明確になってスッキリする番組ではなく、「考察しても考察しても、なんとなくモヤモヤが残る」こと自体を売りにしているので、これでよいのかもしれません。

というのも・・・上記のような「残された謎」が多々あると、もうひとつの可能性も、視聴者としては、考えちゃいますよね?

「実は、さらに隠された真実があって・・・つまり筒井令子こそが『希美が殺人犯だ』と勝手に思い込んで希美を執拗に追いかけていたストーカーであって、けっきょく希美は無罪」という可能性も!

番組を作った側が、いったいどこまでの「可能性」を考慮していたのかは不明ですが、「裏の裏の、そのまた裏」まで視聴者に深読みをさせてしまうための本作の構成なのだとしたら、こうやってネット上でえんえんと「考察記事」が生まれている事態そのものが、『放送禁止』の成功、ということなのかもしれません!


放送禁止 3 ストーカー地獄篇 [レンタル落ち]

『放送禁止2:大家族編』がけっきょくシリーズ最高傑作では?!【フェイクドキュメンタリー幻視行】

person walking to a house
person walking to a house
Photo by Sean Valentine on Pexels.com

「昨今、はやりの、フェイクドキュメンタリーなるものについて、考えたきことがこれ多々あり、古今の名作をあれもこれもと鑑賞してみれば、深まる秋の夜はどこか恐ろし」

さて、、、

以前、長江俊和監督の『放送禁止』シリーズの第一作を鑑賞しました

その勢いで、

結局、『放送禁止』シリーズを、劇場版を含めすべてコンプリート視聴したところなのですが(!)

焦らず、ひとつひとつ、感想を述べていきたいと思います。


放送禁止・2 ある呪われた大家族 [レンタル落ち]

今回は「放送禁止2」の感想記事となります。

でもねえ、シリーズを一気見してしまったばかりの私から、いきなり総括めいたことを言いますが、

この、「2」、「呪われた大家族」編が、私としてはシリーズのベストに推したいですね。

いや、

厳密に言えば、この「2」と、この後日談にあたる劇場版、この二作セットこそが、「放送禁止」シリーズの看板作かな!と思いますよ


放送禁止 劇場版 ~ニッポンの大家族 Saiko! The Large family [レンタル落ち]

↑よく見ると、この劇場版のDVDジャケット写真から、もはや伏線だらけなのですよねw、芸が細かい、、、!

まあ、優雅にしてクソ後味の悪さがやみつきになる劇場版のことは、また後日、記事で語るとして、

今回は、テレビ放送された「放送禁止2 呪われた大家族」の話のみをしましょう。

いいですよ、これは。怖いもの好き、気味の悪いアトアジ好き、そして「謎かけ」好きにはたまらないでしょう。

これは、いわゆる「子だくさんの大家族に密着ドキュメンタリー」の形式を模した、フェイクドキュメンタリーなのですが、

途中から、まさかの、オカルト展開に突撃!

オカルト展開になる、というのはつまり、以下のような要素がぐいぐいと物語の中心を占め始める、ということ

・謎めいた心霊写真(この心霊写真は、なんとなんと、別のテレビ番組「アンビリーバボー」とリンクしているという恐ろしい仕掛けを孕んでいるのですが、それを語るとあまりに話が長くなるので今回は見送る)

・次々に家族を襲う謎めいた事件

・小さな子供達が描く「ラクガキ」に込められた記号(これが怖い!)

これだけブキミな映像が続くと、視聴者はいつしか、「大家族のお宅にお邪魔しますドキュメンタリー」の世界から、実録心霊ドキュメンタリーに移行させられた気持ちになる、

しかし、問題は、ここからなのです!

「放送禁止」第一作の時にも示した以下の図の通り、

見かけの物語の裏に、注意深い視聴者ならば気づく別の物語が隠されているのが『放送禁止』シリーズの基本構成

今回のオカルト展開も、やはり最後のドンデン返しに到達するためのトリックなのです。まことにこのシリーズは油断がならない。


放送禁止・2 ある呪われた大家族 [レンタル落ち]

以下、ネタバレ考察!

どういうことなのか!?については、もう、ご自身の目で見ていただくしかないのですが、

以下、ちょっとだけ、ネタバレをしちゃいます。

ネタバレが嫌な方は、ここで離脱してくださいね。

それでは、ネタバレ5秒前!

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3

2

1

、、、

では、語ってしまいましょう!

すべての謎を解き明かす鍵は、まさに、あの幼児たちが描いていた「おえかき」の内容ですよね。

Q.どうしてあの子達の描く絵にはお父さんがいなかったのか?

Q.「オバケなんていない」というラクガキの示す意味は?

というあたりがキーワードですが、「オバケなんていない」のラクガキの意味は、まったくもって、字義の通り。

あれだけ、心霊写真だー、お祓いだー、と騒いでいたのに、子供達は知っていたんです。「本当はオバケなんかいないのだ」と。

それにしても、

これほど重い「実はオバケなんていないんだよ?」のヒトコトは、過去、なかったのでは?

だってこの家族、

「すべてがオバケのせいだった」で済んでいたら、どれだけマシだったか?いや厳密には、せめて、小さい子供たちには「あれはぜんぶオバケのせい」と思い込んだままでいてほしかった!

あ、いや、でもそのまま大人になってから真実に気付いちゃう方がショックは大きいだろうから、やはり知っていたほうがよかったのか、、、?

いずれにせよ「この家族はこれからどーなっちゃうん?」と気になった方は、ぜひ、後日談にあたる劇場版にチャレンジしてみてください!


放送禁止 劇場版 ~ニッポンの大家族 Saiko! The Large family [レンタル落ち]

なぜ「大家族」編が白眉なのか、を考えてみると・・・

それにしても、この「放送禁止2」はどうしてシリーズ中の傑作になっているのか?考えてみましたが、

凄く身も蓋もない意見ですが、つまり、もともとテレビの「ほんとうの」大家族ドキュメンタリーというやつも、ヤラセで感動系になっているばかりで、よくよく観察すると不穏な「闇」が見えてきちゃうことがままある、どこかいかがわしいコンテンツだから、では?

有名な渡津家にせよ、竹下家にせよ、そもそもが「大家族に密着ドキュメンタリー」とはどこか怖いのだ。

だから私は、その手のドキュメンタリーは、好まない。そのかわり、「その他のドキュメンタリーを模した」この『放送禁止2』には、ズバリの怖さと気味悪さを感じた次第なのでした。

というわけで、結論、「この『放送禁止2』(およびこの後日談にあたる劇場版)こそ、放送禁止シリーズの白眉と思う!」でした

というわけで・・・

『放送禁止』第2回のレビューは以上となりますが、今後も私、フェイクドキュメンタリーとカテゴライズされるもの、ガシガシ視聴しようと思います。そしてつどレビュー記事を上げていきますので、今後もなにとぞ、このウサギめをごひいきに、よろしくお願い申し上げます!


放送禁止・2 ある呪われた大家族 [レンタル落ち]

『放送禁止1』を福島県で考察する【フェイクドキュメンタリー幻視行】

gray scale photo analogue of television
Photo by Andre Moura on Pexels.com

「昨今、はやりの、フェイクドキュメンタリーなるものについて、考えたきことが多々ありまして、古今の名作をあれもこれもと鑑賞してみれば、深まる秋の夜はどこか恐ろし」

なんてことを何となく頭に思い浮かべながら、このところの日々を過ごしております、ヤシロです。

さてこのたび、

現代日本におけるフェイクドキュメンタリーの大家というならこの方、長江俊和監督の、

放送禁止』シリーズの第一作を鑑賞しました。


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まず述べておきましょう!『放送禁止』シリーズは面白い!ただし、フェイクドキュメンタリーとして毎回完璧かというと、出来についていささかアラの多いシリーズでもある。だが、そこが、面白い。

放送禁止シリーズとは?

「事実を積み重ねる事が必ずしも真実に結びつくとは限らない」をキャッチコピーに、

毎回、「理由があって放送できなかったドキュメンタリー番組の素材テープ」(※を、想定したフィクション)が紹介されます。

表向きは、よくあるテレビドキュメンタリー番組

しかし、細かい伏線やダブルミーニングを丁寧に見ていた視聴者は、「裏に別の物語がある」ことに気づく、、、というインテリジェントな構成、それが、『放送禁止』シリーズなのです!

その構成を図示すれば、こんな感じ↓

この「第一回」のシリーズ内での位置づけは?

上記を踏まえての、こちらシリーズ「放送第一回」(2003年4月(エイプリルフール)放送)の感想を述べますと、


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第一回にして、いきなり「外伝」というところでしょうか!?

つまり、まだ『放送禁止』シリーズのテンプレートが固まっておらず、手探りで進んでいる感がある。

それゆえ、後日の『放送禁止』シリーズであれば、もうやらなくなった試みが、いくつも試されているんですね。それゆえ、シリーズ第一作なのに、「シリーズの中では異色作」という印象を受ける!

以下、ネタバレ考察!

どこが、そう感じさせるのかというと、、、

ここからは、ネタバレしますよ!

ネタバレ5秒前

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3

2

1

、、、

では、語ってしまいましょう!

鑑賞した方なら、もうお気づきの通りです。

『放送禁止』シリーズは、表向きのドキュメンタリーの裏で、別の(陰惨な)物語が進んでいく、という構成を強みにしているのですが、

それってつまり、犯罪とか、ヒトコワとか、そういった「リアル路線」なんですよね。

ところがこの第一作は、オカルトに完全に振り切っちゃっているわけです!

後日の作品になると、「オカルト、、、と思わせておいて、実は人間による犯罪のカモフラージュだった」というパターンになってくるのですが、この第一作はモロにオカルト路線です。

あえていえば、

心霊スポットの話、、、と思わせておいて、UFOの話だった、というのがドンデン返しなのですが、オチがオカルトで終わるというのはこのシリーズでは実に珍しい!

ただし、後の作品ではおおいに活用される、

最初からちょい約ながら何度もしつこく登場していた、ある人物が、実は黒幕だった!

パターンはすでに発動しています。

どこかって?ネタバレになりますが、いいですかね?あの作業着のおっさんですね。福島県飯野町の別荘のシーンで、下半身だけがカメラに映る謎の男が現れますが、あれは本作に何回もチラチラ登場していた、取材拒否をしてくるガンコそうなおっさんですよね。

彼がすべての鍵を握っている、らしい、けど、それも結局、よくわからない。

この、「黒幕はアイツらしいけど、確証もない」宙ぶらりん感覚は、まさに、『放送禁止』シリーズだなあ、と私なんぞは思ったのでした。

私の福島旅行にかこつけて考える

ところで私は別記事にもしていた通り、この九月は福島県を旅行しておりました。

まったくの偶然だったとはいえ、福島県の旅行から帰ってきたばかりの時に見た『放送禁止』第一回が、後半で福島市を舞台にしていたのは何か嬉しかったですねー!

後半に出てくる、福島市の飯野町というのは、「UFOの里」として知られるオカルト系(サブカル系?)観光地!

私は福島県に何度も行きながら、この「UFOの里」にはまだ行っていない。『放送禁止』第一回を見ていたら、そんな飯野町がフィーチャーされていたというのも、これはきっと何かのシルシ。よし、いずれ、飯野町にも行かないと!

というわけで・・・

『放送禁止』第一回のレビューは以上となりますが、今後も私、フェイクドキュメンタリーとカテゴライズされるもの、ガシガシ視聴しようと思います。そしてつどレビュー記事を上げていきますねー!


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