明らかに子供向けに書かれた本、文章もイラストも子供向けに書かれたいわゆる「児童書」であっても、「怖いハナシ」を集めた本は、子供には強烈な印象を与えることがあるようです。
私にもそんな思い出の本がいくつかあります。そのうちのひとつが、
「表紙が三つ目のオバケのイラストで」「中にめちゃくちゃ怖いヘビオンナ(のようなもの)が出てくるハナシが入っている」という思い出だけが残っていた一冊。
それを、ついに、見つけました。これでした!
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児童文学作家の寺村輝夫さんが放った、「おばけのはなし」の第三巻。これでした!
懐かしさに駆られて本日、中身を確認したのですが、
なんてこった・・・大人になった今読んでみても、これ、かなり怖いじゃないですか!?
そして、子供心にトラウマとなった「ヘビオンナのようなもの」が出てくるハナシ、ちゃんと入っていましたよ!『かぼちゃへび』というオハナシです。
このハナシがたまらないのは、私が考える「日本の妖怪バナシらしさ」がぜんぶ詰まっていること。
・相手(妖怪)の能力も実体も意図すらもいまいち曖昧
・物理的に攻撃してくるわけではないのに、ただ「立っている」というだけで不穏!
・退治したと思ったらカボチャだけが残っていた、と、けっきょく正体もいまいち曖昧
ちなみに、本書の「あとがき」を読むと、書いていた寺村輝夫さんご自身が、この『かぼちゃへび』執筆中になんだか不穏な気配に包まれ、怖くなって仕事場から一度逃げ出したとか。
この本に入っているハナシで、その他オススメなのは、
・ぬりかべ伝説の変種?と思われる、奇怪な異次元系妖怪のハナシ『かべぬりおばけ』
・バケネコを描いた挿絵がめちゃくちゃ怖い!『ねこのお茶』
の二編。
この寺村輝夫さんの名著の唯一惜しいことは、収録されているオハナシの出典が記載されていないのです!(どうやら新潟方面に取材をして集めたらしい、という点だけ、あとがきに書いてあるのですが)。
『かべぬりおばけ』にせよ『かぼちゃへび』にせよ、第一級の妖怪バナシとして、ぜひ出典までさかのぼって調べてみたいのですが・・・とても残念!
価格:1,320円 |