放送第10回について
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それでは、『怪談のシーハナ聞かせてよ』第壱章の放送第10回のレビューを始めます!
今回もよろしくお願いします。
この放送第10回のゲスト怪談師は、
山口綾子さんと笑福亭純瓶さん!
今にして振り返れば、多少の違和感があることですが、
山口綾子さんのことを、「女流怪談師」と紹介しております。
今ではもうすっかり、女性の怪談師さんというものも珍しくなくなったと思います。ですがこの時期は、まだ、「女性の」とあえてアタマにつける紹介の気運があったのですね。
それにしても・・・これはいささか、しょうもない視点にはなりますが、
私自身も、怪談師というものは別に、顔ではない、とは思っておりますが、
いっぽうで、「顔の良い怪談師さん」という枠が、ひとつふたつ、席があることも、よいではないか・・・とも思うわけです。
ましてその席が、
山口綾子さんのような、「昔グラビアもやられてましたよね?」と向けられると、いまやすっかりイヤそうな顔をする大人な怪談師様になった方が押さえているという点、悪いことではないと思うのですが、いかがでしょうか。
もう一人のゲスト怪談師である笑福亭純瓶さんは、上方落語界からの、『怪談のシーハナ聞かせてよ』参戦となります。落語家の方が、どのような怪談語りを見せてくれるのでしょうか?
それでは、登場した怪談を、ひとつひとつ、レビューしていきましょう!
三面鏡(紙舞さん)
これは、子供の視点から語られる怪談となります。
それにしても、ですが、学校の友達から、
「今日はうちには誰もいないから、ぼくんちで遊ぼう」と誘われるって不穏な予感しかしませんよねw
そして、誘われて遊びにいったお家にある、
「三面鏡」が、怪現象のトリガーとなります。
そしてこのハナシの面白いところといえば、「実は怪異は、同じ部屋で、もうひとつ起こっていた」という展開の妙です!
三面鏡にばかり気を取られていると・・・実は、同じ部屋の、押し入れでも、平行で、怪異が起こっているんです・・・!
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夢(山口綾子さん)
まず、この怪談は、傑作です!
哲学的といいますか、論理学的といいますか、とにかく、
考察のオハシがススムくん、になる怪談なのです!つまり、私好みです!
いってみれば、ハリウッド映画の『エルム街の悪夢』のような、
「夢と現実の混交ホラー」を想起させる複雑な怪談なのです。
のみならずこの怪談の面白いことは、「信じると出てくる幽霊」という怪談パターンなので、いったいどうすれば、この幽霊の追跡を回避できるのかが、なかなかテツガク的深みを持っていることです。
対象の幽霊を信じてしまうと、その幽霊が、出てくる。
対象の幽霊を信じていない人には、出てこない。
しかしそれって、なにをもって「信じている/信じていない」と判定が下せるのでしょうか?
そう考えると、このオハナシ、聴いてしまった番組視聴者にも、なかなか悩ましい後味を残します。
「信じなければ出てこない」となると、「私は信じていないぞ!信じていないぞ!」と、繰り返し強く念じていれば、出てこないのでしょうか??でも、「私は、だんじて、信じていないぞ!」とカタクナになっている人は、それって、「信じている」ことになっちゃのではないでしょうか?
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ナースコール(笑福亭純瓶さん)
海外ロケでトゥーマノ・ロンゴロンゴという現地の若い女性に見染められ、優秀な種を残す目的で執拗に迫られる。
・・・という謎の経歴が、ウィキペディアで紹介されている、上方落語の笑福亭純瓶さんの怪談となります。
病院という場所で起こった怪異ということで、怖い話のハズですが、
何と言いますか、怖いのですけれども、
さすがは落語家さんの語り口、めちゃくちゃ、細部の描写のユニークさで笑わせてもらいました!
さすがはプロ落語家の語り!ということになりましょうか。
ただし、この、「地上波では放送できないような、ガチで怖い話を持ち寄る」という、『怪談のシーハナ聞かせてよ』のコンセプトに、笑福亭純瓶さんの、楽しすぎる語り口が、合っているかどうかは、意見の分かれるところかもしれませんね
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鈴(山口綾子さん)
再び、山口綾子さんの怪談となります。
こちらは、「鈴」という怪談です。
この怪談を聴いていて、特に感じたのは、
まるで映画のカメラワークのように、聴いている人のココロの中での映像の「視線の動き」を、うまく誘導してくる語り口だな!という点でした。
これ、部屋に既にいる幽霊のところに視線が定まるまで、まるで映画のカメラが動くみたいに、語りだけで聞き手が部屋の中を見回して、「ああ!何かがいる!」とさせる!
こういうのを聞くと、語りの芸たる「怪談」って凄い!
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詰め所の横の部屋(笑福亭純瓶さん)
まさに、病院の詰め所のいちばん近くの病室というのは、
何かあるかもしれない患者様、つまり、重篤な方が配置されやすい、というわけでございます。
そういう、詰め所の近くの病室で起こった怖い話なのですが、
ううむ、やはり、笑福亭純瓶さんが語ると、なんだかオモシロオカシイ楽しい語りになりますねえw
細部が、なんとも、ユーモラスで、
なんとなんと、この怪談に出てくる幽霊は、
『本当にあった怖い話』をあわや借りていこうか、というコミュニケーションをしかけてくるんです!
そのままこの幽霊に、『本当にあった怖い話』を貸してあげていたら、怪談の後半の展開は、いったいどうなっちゃっていたのでしょう?
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まとめ
放送第10回の総評としては、
山口綾子さんと、笑福亭純瓶さん、
それぞれの怪談の語り口の方向性の違いが、
「実話怪談の語りとはなんだろう」というテーマについて、深く考えさせてくれる興味深い放送回でした。
そして、実に、細かいことかもしれませんが、
この放送第10回には、ちょっとした、特別性があります。
この回、なんと、せきぐちあいみさんが妄想タイムを2回とってるんですよ!
せきぐちあいみさんの「妄想タイム」が大好き!・・・というニッチなファンには、二回も聞けるこの回はオトクな放送回の筈!?
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※『怪談のシーハナ聞かせてよ。』第壱章は2024年12月現在、DVDはGEOにて貸出可能、放送第39回以降からはU-NEXTで動画配信中と確認できております。